平行進化の分子機構:やっぱりシス領域か!

ついに出た。
Nature最新号に、「多面発現遺伝子におけるシス調節領域の変化を介して繰り返された形態進化」(Repeated morphological evolution through cis-regulatory changes in a pleiotropic gene)という論文が出た。そのうち、こういう研究が発表されるだろうとは思っていた。したがって、予想外ではないが、説得力のある証拠を見せられると、感動する。
「タイプスイッチング」をめぐって議論を戦わせていたのは、そんなに昔の話ではない。研究の進歩の早さを思い知らされる。
ショウジョウバエでは、雄の求愛ディスプレーに使われる翅の模様(色素沈着パターン)が、進化の過程で出現・消失を繰り返している。いわゆる「平行進化」である。色素形成の遺伝子自体はどの種にもあって、いつどこでどれを発現するかを決める調節因子(シス因子またはトランス因子)の変異で、模様があらわれたり消えたりするのだろう、という仮説は、分子生物学の進歩をフォローしている人なら誰しも考えつくものである。
花の色や匂いの進化も、このようなプロセスだろうと考えて、研究を進めているが、やっぱりショウジョウバエの研究が先行した。
しかも、正体はシス因子だった。転写因子のほうが、調べやすいのに・・・。シス因子となると、deletion cloneを作れるモデル生物でないと、詰めがきかない。
しかし、きっと分子機構も多様だろう。転写因子の並行的な変異が形態形質を平行進化させた場合もあるに違いない。
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