女性研究者支援モデルプラン(続)

寄生虫ひとりがたり」さんからトラックバックをいただいた(id:m-urabe/20051208)。

  • 「出産・育児に対する支援」でことは足りるのであろうか。
  • 何か支援システムを作って補助金をもらい、それなのに女性研究員の採用が一向に増えないという研究組織があったなら、補助金は返還するのだろうか。

などの疑問を提起されている。
私の昨日のブログでは、表記のプランについて説明不足だったので、補足しておく。
この助成事業の選定用件は、次の2点であるとされている。

  • 女性研究者を積極的に登用するための取組状況(行動計画の策定、推進体制の整備など)
  • 支援対象となる女性研究者の人数や今後の増加の見通し

「今後の増加の見通し」は、「公約」である。この「公約」が守られなければ、文部科学省としては、行政指導により改善を求めるのがスジだろう。一度払われた補助金は返還されないが、国税による事業に対して「公約」が達成されていなければ、達成するように強い指導をすべきである。しかし、このような指導を受ければ、大学の評価は下がるので、「公約」は多くの場合、指導を受ける前に達成されると思う。
次に、「支援ニーズに対する取組例」として、次の4点があげられている。

  • 大学などにおける出産・育児と研究の両立や男女共同参画に関する相談体制(カウンセラーの配置など)
  • 出産・育児期間中の業務負担を軽減するためのシステム作り(柔軟な勤務態勢の工夫など)
  • 育児の状況などに応じて、フルタイムでなく、パートタイムで働ける環境の整備(研究支援者の配置など)
  • 女性理工学系学生が研究者の道にチャレンジすることを促進する施策(若手女性研究者との交流の場の設置、女性理工学系学生むけのキャリアパス相談の充実化など)

これらはあくまでも取組例であり、女性研究者が増えて、元気に活躍できるための独自のアイデアがあれば、それだけ点数は高くなるはずだ。「寄生虫ひとりがたり」さんのような方が感じられている問題点をつまびらかにして、それに対する的確な対策をとるプランをたてれば、評価は高くなるはずだ。
競争原理による改良は、このケースのように、目標が明確で、評価によって良い案を選び出せる場合には、有効にはたらく。
これまでの「大学間競争」では、目標や評価基準があいまいだった。これでは、競争原理はシステムの改良にむすびつかない。
今回は、女性研究者の多くが支持する案が、良い案である。審査委員にも、女性委員がかなりの割合で含まれるはずだ(私は過半数を女性にすべきだと思う)。
期待してよいのではないか。