外来生物法施行

本日、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)が施行された。環境省では、41名の「特定外来生物被害防止取締官」を発令した。取締官には、飼養等許可者への措置命令や立入検査等の権限が委任される。今日からは、許可なくブラックバスを放流する行為は、「犯罪」となる。

天然記念物である京都市深泥池では、1977年にオオクチバスブルーギルが放流されて以後、79年までにシロヒレタビラとドンコが、85年までにオイカワ・カワバタモロコ・タモロコ・メダカが絶滅した。水生昆虫では、遊泳型の生活をする種が減少し、ゆっくり匍匐する種や、泥の中に埋没して暮らす種が増えた。このような変化は、ブラックバスブルーギルの導入によって引き起こされた可能性が高い。

深泥池の自然を守る活動をしている市民・研究者は、1998年からオオクチバスの駆除を行なっている。2003年まで、順調に減ってきていたのだが、昨年、密放流があり、増えてしまった。2チャンネルで、「犯行宣言」が出ているそうだ。このような行為が、今日から、「犯罪」となり、取締りの対象となる。日本の自然を守るうえでは、大きな一歩である。

法律の内容を知らない人が多いことと思う。以下に、環境省の報道発表資料のページから、概要を転記しておく。

(1)外来生物法に基づく規制内容

  • 特定外来生物の国内での飼養、栽培、保管又は運搬(飼養等という。)が禁止

→主務大臣の許可を得ていれば、飼養等することが可能。
学術研究、展示、教育、生業の維持などの目的で、特定外来生物が逃げ出さないような基準を満たす施設(特定飼養等施設)を有している場合に限り、許可対象となる。なお、愛玩(ペット)・観賞目的では新規の許可対象とはならない。ただし、現に飼養等している個体に限り、許可を得て引き続き飼養等することが可能である。(施行後6か月間の許可の猶予期間あり。)

→事前に飼養等の許可を得ていれば、輸入することが可能。

→飼養等の許可を有している者の間であれば、譲渡し等することが可能。

→特定飼養等施設の外で放つ行為は例外なく厳禁。

輸入禁止。輸入しようとする者は、あらかじめ主務大臣に届出を行い、特定外来生物に該当するか否かの主務大臣の判定を受けなければならない。この判定期間は6ヶ月であり、結果の通知があるまで輸入は禁止。

輸入禁止である特定外来生物又は未判定外来生物と外見上容易に区別できない外来生物を輸入するには、外国政府機関等が発行した種類名証明書の添付が必要。

(2)特定外来生物の防除

  • 関係都道府県の意見を聴いて、国が防除の内容等について公示

→近日中に公示の予定。

  • 国以外の者が防除を実施する場合は、主務大臣による確認・認定を受けることで円滑な防除活動の実施が可能となる