海砂採取の闇

とあるきっかけで、海砂採取がもたらす環境問題について調べざるを得ない立場に立たされた。この問題に詳しいSさんに話を聞いて、海砂採取が生物ごと海底から砂を吸引する行為であることを始めて知った。
海砂採取について、ネットで得られる情報を調べてみた。

http://www.shikoku-np.co.jp/feature/tuiseki/076/index.htm
海砂採取が瀬戸内海の環境を悪化させているという判断の下で、香川県は「五年の経過措置を経て、十七年度から禁止。補償はしない」という決断を下した。この決断の意義について、香川大学農学部の門谷茂教授がインタビューに応えている。
瀬戸内海の海底には、深くえぐられた採取跡が随所にあるらしい。科学者による調査に加え、マスコミが海底の姿を写真や映像で明らかにしたことが、行政を動かす大きな力になったようだ。
 

  • 海砂採取の全国的傾向

http://www.env.go.jp/nature/koen_umi/umi02_5.pdf
これは環境省のウェブサイトに置かれている資料である。
瀬戸内海沿岸11県の中で、平成16年度にもっとも海砂採取量が大きいのは福岡県。
このうち現在でも海砂採取を許可しているのは福岡県、大分県山口県であり、まったく規制がないのは福岡県と大分県

  • 長崎の論点 海砂採取−環境への影響懸念し県が規制強化へ

http://www.nagasaki-np.co.jp/box/ronten/2002/05.html
長崎県は、海砂採取量で長らく全国一を続けてきた海砂採取県だという。県内産の海砂が大量に県外流出する事態に歯止めをかける目的で、1990年に県海砂採取要綱が制定された。しかし、その後も採取量は増え続け、県外への流出も続いている。瀬戸内海で海砂採取規制が強まったことも影響して、特に良質な壱岐沖の砂に需要が集中した。県海砂採取要綱は「骨材として適質な砂は、骨材以外の用途に供給してはならない」と規定しているが、現実には西日本各地の人工海浜や、埋め立てに使用される例が多いという。壱岐沖は、全国でも有数のイカの好漁場。そのケンサキイカは、海底の砂地を産卵、生息の場所にしており、「現にイカが取れなくなっている」問題を自民党の県会議員が指摘している。

http://www.data-max.co.jp/2008/01/post_326.html
「Net IB 九州企業特報」というネットニュースの記事である。

海砂採取については、本社取材班が平成17年からその違法操業の実態を指摘、定められた掘削深1メートルが守られておらず、玄界灘の海底が凸凹の状態になっていることを報じた。
さらに、福岡県が海砂採取の実態調査を行いながら、公表していなかったことも判明。
調査では、「漁場価値の著しい低下」「回復に20年」「グミ(なまこの一種)の大量発生」など衝撃的な結果が報告されていた。

陸上で砂利採取をすれば、山が消えたり、河川敷に穴があいたりするので、その影響はわかりやすい。このため山砂や川砂の利用が減り、海砂採取が拡大したようだ。環境への影響を評価しないまま、海砂採取を続けるのは、おろかである。さらに、違法操業や要綱違反が常態化しているとあっては、自然再生事業で海砂を利用する行為は支持できないと思う。