ミシシッピアカミミガメの料理法と外来生物法

一昨日に屋久島から戻ったばかりだが、明日にはウィーンに向けて発たねばならない。仕事は山積しており、あわただしい。ブログなんて書いてる暇はないのだが・・・。

12日に、卒業研究生の依頼で、下記のようなメールを、3つのメーリングリストに送った。

jeconet, evolve, taxaのみなさん:

九大新キャンパス用地でイシガメの調査をしている学生が、巨大なミシシッピアカミミガメを捕獲してきました。ただ殺してしまうのは、無益な殺生に思えるので、食べられないかと思案中です。スッポン同様、鍋にすれば食えると書いているネット記事がありました。どなたか、ミシシッピアカミミガメの料理法について、ご存知ありませんか。

ちなみに、ミシシッピアカミミガメは、特定外来生物種の二次選定候補にあげられています。特定外来生物種に指定されると、「特定外来生物の飼養、栽培、保管又は運搬(以下「飼養等」という。)」が禁止されるので、今回のように新キャンパスから箱崎キャンパスに「運搬」することは、違法行為になってしまいます。だから指定するなというつもりはないのですが、外来生物法のこの規定は、駆除の妨げになると思います。キャッチ&リリースは良いが、持ち帰って殺す(「食べる」を含む)のはダメというのは、どう考えても、おかしな法律です。

植物種の二次選定で、日本生態学会ではセイタカアワダチソウを指定候補のひとつにあげて要望書を出しましたが、環境省は指定しない方向。その最大の理由は、セイタカアワダチソウが生えている土地の土砂を運搬すれば、違法行為になってしまうからです。

とはいえ、法は法。巨大なミシシッピアカミミガメを捕まえたとき、現場で安楽死させる適当な方法があれば、ぜひ教えてください。

何人かの方々から、有益な情報をいただいた。まず、ミシシッピアカミミガメは、特定外来生物種の二次選定候補にはリストされていないそうだ。これは私の勘違い。広範に定着しているうえ、飼育者が相当に多いことから、法的指定は難しいという判断のようだ。今回のような持ち帰りが、違法行為になってしまうことを避けたいということなのだろう。セイタカアワダチソウと同じ問題だ。5年後の見直しの際には、広範に定着している種を指定して、防除に対する予算措置が可能になるように、外来生物法を改正すべきだろう。5年先と思わずに、今から声をあげておくほうが良い。

料理法に関しては、「要は淡泊な白身でしょうから、特別の料理法は考えなくてもいい」とのアドバイスをいただいた。また、「特有の臭みがあるのであれば、その匂いが強調されがちな鍋(あるいは揚げ物もだめと思う)よりも、脂分や香味を補った洋風の調理が適しているかもしれません」とのこと。なるほど。

解体の方法については、次の本にイラスト入りで解説されているそうだ。

「ゲテ食」大全 北寺尾ゲンコツ堂著 データハウス
ISBN:4887183755 ; (1996/03)

カメ料理として、「クサガメ鍋」と「アカミミガメの甲羅蒸し」が紹介されているとのこと。

安楽殺の方法については、「対象になる動物にとっての安楽」と「立ち会う人(見る側)にとっての安楽」とは必ずしも一致しません、というご指摘を受けた。もっともである。

米国獣医学協会のサイトに、「安楽殺方法に関する調査委員会報告書」が掲載されている。これは有益な情報源だ。これを読むと、炭酸ガスで麻酔したあと、急速に凍らせるという方法が良さそうだ。