君の名は。

プノンペン行きの機内でついに見れた。ありがとう、全日空
物語についての事前の情報は、男の子と女の子の体が入れ替わるという設定からは想像もつなかい、人の思いの強さを描いた感動作だということだけ。空前の大ヒット作になっているにもかかわらず、情報があまり漏れ聞こえてこなかった。ネットを探せばネタバレ情報はあるのだろうけど、Facebooktwitterだけからは、シン・ゴジラのように具体的な情報が伝わってこなかった。
その理由がわかったよ。これは話の展開を人に教えたくない、実際に観て感動してほしい、そういう映画だ。話の展開を説明しても、この感動は決して伝わらない。
ずっとずっと遠くにいて、決してめぐりあうことがないはずの相手を、人はこんなにも強く思うことができるんだ。この映画を観た人は、その思いの強さに、涙を流すんだろうね。
そして、いつもそばにいると思っていた大切な人を失ってしまった喪失感、もしもういちど取り戻せるなら、どんなことでもしたいという、込み上げる思い。間違いなく、この映画の背景には、3.11の東北大震災によって、大切な人をなくした多くの市民への思いがあるだろう。
新海誠監督は、ジブリのアニメづくりのすばらしさを継承しながら、新しい作風でついに圧倒的な作品を作った。「星を追う子ども」ではジブリの後追いをしているように見えたけど、あの作品は新海監督にとってはある種の力試しだったのだろう。守・破・離、で言えば、「守」の段階だった。「言の葉の庭」で壁を「破」り、そして今回、ついに「離れた」。次の作品で、どんな世界を見せてくれるのか、楽しみで仕方がない。
日本のアニメ界に、新しい時代が来た。これからは、細田守監督と新海誠監督という二人の若き巨匠がさらなる高みをめざして、挑戦を続ける。ジブリが播いた種は、しっかりと育ったんだ。誰かが高い達成をすれば、必ずそれをこえる次世代が育つという事実に、大きな希望を感じる。