コクリコ坂から
というわけで、息抜きに、「コクリコ坂から」初日レイトショーを観てきました。国立環境研の玄関でタクシーを待っていると、なぜかUさんがやってきて、結局ふたりでMOVIXに直行し、おじさん二人で観賞しました。この作品は、すばらしい完成度です。最近のジブリ作品では、一番好きかも。
ハヤオ作品のような「抑揚」はありません。物語は淡々と進み、クライマックスのドラマも静かに描かれています。息子の作風は明らかに高畑さんより。ゲド戦記では、その作風が作品とミスマッチをおこしていました。しかし、今回は脚本と作風がぴったりあっています。ハヤオさんの脚本だそうですが、息子に素敵なプレゼントをしましたね。父親から息子に、しっかりとバトンが渡ったのではないでしょうか。
絵も、ゲド戦記で試みたあえて粗く書く部分と、ジブリならではの細かな描写がうまくバランスしており、この点でも完成度が高いと感じました。吾朗監督は、きっと5年間、しっかり準備をしたのでしょう。
軽快な音楽は、新たな実験ですが、私は好感しました。この音楽のトーンでは、主題歌が浮いてしまうのではないかと、途中で心配になりましたが、最後は主題歌のトーンが生きました。主題歌の主旋律の「ルフラン」が、映画のあとも心に残り、幸せな気分で映画館をあとにしました。
主人公二人が出会うシーンと、そのときの二人の心の交感は、吾朗監督ならではの描写ですね。父親には描けなかった、若い世代の感覚を感じました。