ヒックとドラゴン2

クアラルンプールに向かうJAL機内で、待ちに待った二作目を観た。傑作の一作目を上回る大傑作だ。一作目のエンディングで感じた違和感も解消された。すばらしいよ。

一作目は、ドラゴンと人間が争う世界で、傷ついたドラゴンのトゥースレスをヒックが助け、仲良くなるエピソードから始まる。ヒックは、仲間(ドラえもんを連想させるメンバー構成)とともにドラゴンと人間を和解に導くが、その代償に片足を失う。ハッピーエンドではあるが、主人公が片足を失う結末は衝撃的だった。最後に感じた違和感は、ヒックが暮らすバーク島でドラゴンたちがペットのように描かれている点だった。

一作目の記事 → http://d.hatena.ne.jp/yahara/20100907

二作目では、ドラゴンと人間が仲良く暮らすバーク島に絶体絶命の危機が迫る。敵は、ヒックを上回るドラゴンマスター、ドラゴ。彼はドラゴンを支配し、そして人間を支配する圧倒的な力を持っている。彼はバーク島で若いドラゴンマスターがドラゴンと人間が平和的に共存する社会を築いていることを知り、ドラゴンの軍を引き連れてバーク島を襲撃しようとする。バーク島から飛びだし、外の世界の探検をする中でドラゴの脅威を知ったヒックは、戦争を回避すべくトゥースレスに乗ってドラゴの元へ向かう。しかしドラゴはまったく説得が通じない相手であり、戦って勝つ以外の選択肢を考えない非情な人物だ。この圧倒的な敵に対して、ヒックに何ができるのか?

映画の冒頭でこの物語の設定が描かれた時点では、先の展開はまったく読めなかった。その後のストーリー展開は、お見事。出会い、別れ、王の帰還。観終わってみれば、次代の王が成長する、まさに王道のストーリー展開だ。しかし、最後の最後まで読み切れない展開が続いた。最後は力で力を倒す決着になるのか? それだとがっかりだ、と思いながら観たが、結末には納得がいった。ドラゴンたちの存在は、乗り物にもなるペットから、絆で結ばれた友へと変わった。主人公が片足を失う一作目の結末も、二作目のストーリーにうまく生かされていた。大満足だ。これ以上はネタバレになるので書かない。

ドラゴンが空を飛ぶ描写は、一作目を凌駕する出来栄え。新たに登場するドラゴンたちの造形もすばらしい。一見異形のトゥースレスは、一作目以上にかわいらしく、いとおしく、そして逞しい。「外の世界」の景観描写も圧巻だ。「天空の城ラピュタ」の影響を少し感じたが、それは「アバター」にもあった。

二作で終わるのはもったいない素材だが、この二作目の完成度をこえるストーリーが作れるだろうか。一作目の伏線もきれいに回収され、ストーリーがしっかりと終わっている。もうこれ以上はいらない、そう思わせる出来栄えだ。