ついに開かれた北極海横断航路

yahara2010-09-06

今朝のCNNニュースで、以下の記事を見つけた。
http://www.cnn.co.jp/business/30000101.html

ロシア海運最大手SCF(ソフコムフロート)の大型タンカー「SCFバルティカ」号が北極海横断に成功した。大型タンカーとしては初の北極海航路での輸送運行となる。

こんなに早くこの日が来るとは予想していなかった。
最近、市民向けに地球環境の話をするときには、北極海の氷が1979-2003年にどう変化したかを示す衛星写真(上の図)をよく使っている。この写真を見せて、「温暖化は怖いと思う人、手をあげてください」と聞くと、多くの聴衆が手をあげる。そのあとで、こう話している。
「実は、北極海の氷が解けると、莫大な経済的利益が生じるんです。北極海を横断する海運が可能になります。海賊がいるソマリア沖を通らずに、短い日数でヨーロッパと東アジア・北米との海運が可能になります。温暖化は、悪いことばかりではないんです。」
もちろん、この後に、シロクマなどの北極圏の生物の生息環境が縮小することや、温暖化にともなう干ばつの脅威などについても話をしている。
「以前は、北極海を横断する海運が開けるには、20年以上かかるだろうと予想されていました。しかし最近では、あと12年程度で開けるのではないかという予想もあります」
このように話していたのだが、その海運が、早くも開けた。現時点では、北極海航路を通れる船種は限られるものと思うが、急速に技術開発が進むだろう。
今後は、温暖化の影響そのものだけでなく、北極海航路開発が生態系・生物多様性に与える影響を注視する必要がある。

※えびの高原で野外実習中。今日は雨。