ASEAN生物多様性コンファレンスと自然共生社会の英語訳

ケープタウンから20日に帰国し、一日おいて22日にはシンガポールに飛び、ASEAN生物多様性コンファレンス(10月21-23日)に2日目の夕方から参加した。環境省が進めるアジアの生物多様性インベントリー事業(ESABII)のセッションに出て、何人かのアジアの知人に再会した。
環境省のHさんには、ケープタウンでのDIVERSITAS会合での議論を手短に報告するとともに、3月のプレコンファレンスへの協力をお願いした。DIVERSITAS科学委員会などで、日本の環境立国戦略にもりこまれた3つの社会目標(低酸素社会、循環型社会、自然共生社会)をLow Carbon Society, Recycling Society, Symbiotic Societyと訳して紹介した。Symbiotic Societyは人間を自然の一部とみる日本的(おそらくアジア的)考え方にもとづくもので、「共生」(Symbiosis, living together)は仏教の重要な考え方でもある。という説明をしたうえで、プレコンファレンスの最後のセッションのテーマを「Sustainable use of biodiversity and symbiotic society」としてはどうかと提案した。symbiotic societyというコンセプトには、CBD事務局のDCさんをはじめ何人かの方からポジティブな評価をいただいた。環境省のHさんにこの話をしたところ、COP10の標語は、Life in harmony, into the futureに決まったというご返事があった。「Life in harmonyというより、living togetherというほうが、他の生物と一緒に生きるというメッセージがより強く伝わりますよね」という話をした。
最終日のパネルディスカッションに日本の環境省を代表して登壇されたHさんは、
Life in harmony, into the future 地球のいのち、つないでいこう(CBD COP10
という標語を紹介されたうえで、この標語には
Living together not only with each other in our human-beings but also with many other organisms
というメッセージが込められている、と説明してくださった。
環境立国戦略に定められた「自然共生社会」という社会目標は、国際的に支持される目標だという感触を得ている。その訳語は、Symbiotic Societyが良い。簡潔だし、symbiosisという生物学用語で表現するほうが、科学的意義づけがしやすい。
今日はこれから、ヒシモドキの調査に出かける。