COP10に向けての円卓会議

2月3日にはCOP10に向けた環境省円卓会議に出た。外務省・国土交通省農林水産省通産省からも担当の方が出席されていた。生態学分野からは、私と鷲谷さん、中静さんが出席した。この時期に、この3人の都合があったのは、かなり幸運だった。このほか日本造園学会NPO代表、経団連などが円卓を囲み、2時間の会議をした。円卓を囲む出席者が自己紹介を兼ねてひととおり発言するだけで、2時間が過ぎてしまった。しかし、多くの関係者が円卓を囲んでCOP10に向けて歩調をあわせることができたのは大きな成果だった。
私には、外務省の方の発言が非常に心強かった。COP10の議長国は、COP10終了後COP11までの2年間、生物多様性条約に関する国際的な取り組みのリーダーシップをとらなければならない。したがって、われわれの取り組みはCOP10で終わるのではなく、むしろCOP10から本番が始まるのだ、という趣旨の発言だった。生物多様性に関わる科学者にも、この視点はとても重要だと思う。
多くの発言は、それぞれの立場を代表するものであり、必ずしも聴衆を意識したものではなかったと思う。私は円卓の外に着席されているオブザーバーの参加者の方々を意識して、生物多様性に関する日本の状況には3つの特徴がある、という発言をした。ひとつは、先進国は生物多様性が低く、発展途上国生物多様性が高いという国際的なトレンドの中で、わが国だけは非常に高い生物多様性を持つ先進国だということ。ふたつめは、「自然共生社会」という目標を環境立国戦略に掲げるように、人間を自然の一部と見る共生の文化がある国だということ。3つめは、科学者と市民の協働が当たり前の国であること。これら3点は、海外に出てみて痛感する日本の特徴である。これらの特徴を生かしたメッセージを発信することが、COP10での私たちの役割ではないか。そんな発言をした。
円卓を囲む主要関係者が歩調をそろえて努力をすることと同時に、円卓内外のネットワークを育てることも重要だと思う。
2月4-6日のGEOSS-Asia Pacificシンポジウムでは、COP10に向けて、関係す科学者のネットワーク化の必要性を痛感し、具体的なアクションを提起した。その点はまた後日。これからワシントンDCに向けて、飛ぶ。