日本人と生物多様性:じゃかるた新聞とニッケイ新聞の記事から

日本人は伝統的に、多種多様な生物に関心が強い。生物多様性に関連する海外のさまざまな会議に出た経験から、そう痛感する。この事実を再認識させてくれる記事が、じゃかるた新聞とニッケイ新聞に掲載されていた。
じゃかるた新聞(http://www.jakartashimbun.com/)は、インドネシアに在住する日本人向けに発行されている新聞である。
また、ニッケイ新聞(http://www.nikkeyshimbun.com.br/)は、ブラジル在住のニッケイ人(日系人)向けに発行されている新聞であり、日経新聞ではない。ブラジルを始めて訪問したとき、サンパウロのホテル・プラザ・ギンザのロビーに置かれていたのを見て、はじめてこの新聞の存在を知った。その後、インターネットが普及し、ニッケイ新聞のウェブサイトが開設されたので、日本からもニッケイ新聞の報道にアクセスできるようになった。
じゃかるた新聞にも、ウェブサイトが開設されている。いずれのサイトも、私のアンテナに登録しているので、毎日更新のニュースが届く。ちなみに、沖縄新報と琉球タイムスのウェブサイトもアンテナに登録している。これら4紙は、大手の新聞には掲載されない貴重な情報を提供してくれる。
今日のじゃかるた新聞は、「サミット参加宣言プログラム」(主催・日本外務省)で、ジャカルタ日本人学校(JJS)小学部三年が、国内外の参加校二十六校から優秀賞に選ばれたことを報じている。JJS小学部三年の三クラスは今年六月から、絶滅の危機にひんしているオランウータンや古代魚シーラカンス、世界最大級の花ラフレシアなど、インドネシアの動植物の生態系について調査した。JJSフェスティバルでは、保護活動の重要性を訴える演劇を上演したそうだ。また、こうした野生動物を描いた「アートマイル壁画プロジェクト」(国連教育科学文化機関=ユネスコ)に出展した。こうした活動が、外務省により表彰された。COP10に向けて、インドネシアでのこのような取り組みとうまく連携できないだろうか、と考えてみる。
ニッケイ新聞では、「アマゾンの動物――在住半世紀余の見聞から」という連載記事が33回にわたって掲載された。今年の春で連載は終了したが、まだ全記事をウェブサイト(http://www.nikkeyshimbun.com.br/080314-62colonia.html)で読むことができる。
今年は、サンパウロ在住の橋本悟郎先生が永眠された。サンパウロ博物研究会を組織して、長年にわたりサンパウロ州を中心とするブラジルの植物相調査を続けられた。私設のハーバリウムには多くの貴重な標本が残されている。ハーバリウムの玄関で先生と一緒に写った写真が私の手元にある。もういちどお目にかかりたかったが、その夢はかなわなかった。先生のご冥福を心からお祈りもうしあげる。