イントロダクションの標準構成

イントロダクションをどのように構成すれば良いかについて、明快に解説した本が見当たらない。私は、次の構成が良いと思う。

起(Opening statement)
承(Subsequent explanation)

  • 背景(Background review)
  • 意義付け(What remains unanswered or unexamined?)
  • 材料の利点(Why you used the materials?)
  • 方法の利点(Why you employed the methods?)

結(Conclusion)

  • 結果の要点(Summary of key findings)
  • 結論(A conclusion)

以前は、意義付けの部分を「転」と表現していた。しかし、「転」と説明すると、論理をひっくりかえしてしまう学生がいるそうだ。O84さんからのこの指摘を受けて、「転」はやめにした。
以前は、「結」の部分では疑問文の形で問題を設定するように学生に指導していた。最近では、考えを改めて、結果の要点と結論を書くように指導している。その理由は主に2つある。
(1)読者は結果の要点と結論を早く知りたい。ミステリー小説ではないので、読者が知りたいことを先に提示したほうが、読者に親切である。
(2)上記の書き方に従えば、イントロダクションを書く段階で結論を決めざるを得ない。結論を決めることで、論文の中軸が定まる。
アブストラクト・ディスカッションでも結論を書くので、結論は合計3回書くことになる。結論は大事なので、3回書いても構わない。
上記の構成でイントロダクションを書くとき、書き手が行なうべき主要な作業は次の2つである。
(1)結果から結論を導く作業。
(2)先行研究のレビューと比較して、結論の「意義付け」を行なう作業。
この2つの作業を、誰でもこなせるようにマニュアル化できないだろうか。4月以来、大学院生の論文原稿を改訂しながら、この問題意識を持ち続けてきた。いずれのプロセスも、多くの情報から少数のポイントを導き出す作業なので、何らかの論理的な手順(アルゴリズム)で、様式化できるはずである。
その手順を説明したパワーポイントファイルがほぼ完成したので、論文執筆中の数名に手順を説明して、その有効性の検証を試みている。この手順でもうまく書けないなら、何か重要なステップをまだ把握できていないのだろう。それらを特定して補えば、一般的な手順が作れるはずである。