健全な高校生と判断力に欠ける専門家:NHK「日本の、これから」を見て
生討論番組の後半を自宅で見た。今日のテーマは学力。2点だけ感想を書きとめておきたい。
(1)「このままでは日本はだめになる」「国際競争に負ける」という専門家の主張に対する高校生のストレートな反論がとても良かった。
- 「私たちは日本が国際競争に勝つために勉強しなければならないのですか?」
(2)ディベートの重要性を主張した榊原英資氏の発言にあきれた。
- 「海外の人はもっとディベート力がある。日本人は下手でしょ。ここにいるみんなも、議論が下手。」
・・・相手を見下した主張は、ディベートで絶対にしてはいけない。あっという間に支持を失う。
追記:榊原英資氏は、たくさん勉強して知識を身につけなければならないとも主張したが、これに対する高校生の反論もなかなか鋭かった。
- 「さっきは応用力が大事だと言ってたじゃないですか」
その後の榊原氏の弁明にもあきれた。
- 「応用力も知識に含まれるんだよ。古今東西の天才はね、みんなものすごく知識があった。創造というのは知識の組み合わせから生まれるんだよ。たくさん知識があってはじめて、それを組み合わせて創造的なことができるんだよ」
これでは、強弁の見本である。
全体を通じて、高校生は議論をよく聞いて、そのうえで自分の考えをしっかり述べていた。それに対して、榊原氏には自論をここぞとばかりに強弁する姿勢が目立った。どちらがディベートにおいて適切な姿勢かは、あらためて言うまでもない。
議論の途中で、ある高校生が次のように発言した。議論を建設的な方向に向けようという素晴らしい発言だったが、この発言は最後まで生かされなかったと思う。
- 「どうしてみんな、悪い点ばかりとりあげて議論するんですか。良い点をとりあげて、こうすればもっと良くなるという前向きな議論をすべきだと思います。」
三宅アナウンサーはこの発言を生かそうとしたが、結局「大人」の非建設的な議論に戻っていった。