安保法制をめぐるFNNでの討論
SIELDs奥田君の主張に興味があって、視聴してみました。彼の主張をきちんと聞くのは初めてでした。
奥田君は冷静かつ論理的に答えていますね。新3要件のうち2要件が法律に書かれていない、いそいで11法案も作ったので、法案自体のクオリティが足りないなど、批判に具体的な根拠があり、論理に無理がありませんでした。これに対して、時事通信の田崎委員の、中国の脅威に対する野党側からの対案がないというコメントは、典型的な強弁ですね。論説委員がこれを言っちゃダメです。何度も紹介している野崎昭弘さんの名著『詭弁論理学』(中公新書 ISBN:4121004485)の記述。
•「どこが悪いのか」これは強弁術のひとつのテクニックである。大体、論証ないし説得というのはむずかしいものなので、その手間を相手に押しつけてしまえば、半分は勝ったといってもさしつかえない。(23ページ)
中国の脅威に関して言えば、経済的連携、民間交流、政府間の外交努力など、有力な選択肢が他にあります。一方で、集団的自衛権容認によって軍事的圧力を強める方法は、リスクもともないます。このような問題はすでに議論されているのに、野党側から対案がない、と強弁するのは、議論のしかたとしてダメだと思います。また、安倍首相は政治的資産をかけている、などという話は論理でもなんでもありません。奥田君の、「安倍総理ひとりの思いにどうして国民がつきあわなければならないのか」というコメントは的確でした。
議論がかみあっていないという指摘がありますが、少なくともこの番組での議論については、奥田君の論理的な指摘に対して、論理的に返していない点に、かみあっていない原因があると思いました。