ウイーン初日

オペラ座の前のインターネットカフェ"Surfland"で、上記の日記をアップロードした。ここは、ウイーン市内で唯一、日本語環境が整ったインターネットカフェだそうだ。
ウィーンに発つ前に、関西空港で、パウエル前国務長官そっくりの人とすれ違った。よく似た人がいるもんだ、と感心していたのだが、機内備え付けの読売新聞朝刊に、「パウエル前国務長官、15日に関西学院大学で講演」という記事が出ていた。あれは本物だったのだ。
そういえば、私は宮沢前首相にも、細川前首相にも、駅ですれちがったことがある。生起確率がごく小さい事象でも、ごくまれには起きるものなのだ。人物を特定しなければ、誰かしら有名人に会う確率は、駅や国際空港を頻繁に利用している者なら、時間とともに累積していく。
同じことは事故についても言える。事故の種類を特定しなければ、何かしら事故に会う確率は、旅行の回数に比例して増えるだろう。そう考えて、細心の配慮をするかどうかが、海外での生活では重要だと思う。
今日は、エクスカーションに参加して、近くの丘陵地に出かけた。ベートーベンが田園交響曲を着想したというモェードリンクが最初の訪問地。街の手前でバスを降りて、丘陵地のハイキングコースを登り、ピークにある古城のあとまで歩いた。廃墟となったピークには、色とりどりの花が咲き、綺麗だった。古城あとからの展望も、すばらしかった。
この「廃墟の美」を堪能したあと、私を含む最後尾の7名が、山中で置き去りにされて、迷子になるというハプニングがあった。おかげで私は、地下足袋で山道を走り回るはめになった。山道を走って、エクスカーションの参加者一同を探せる体力がありそうなのは、7名中、私だけだったのだ。
てくてく歩くだけのエクスカーションにいささか退屈していたので、結構楽しく山道を走った。スハマソウの仲間や、野生のシクラメンなど、案内されたコースにはなかった植物を結構見ることができた。
ところが、平坦な、なんでもない場所で、こけてしまった。頭をカバーするために、とっさに左手をついて、手首を少し捻挫した。注意していれば、避けられる事故だった。
どうも私は、なんでもない場所で、へまをする悪癖がある。本当に危険な場所では、細心の注意を払うので、事故を経験したことはない。事故はすべて、安易な状況で、起こしている。「過ちは安きところにてすなるものなり」と、たしなめられたこともある。
市内でも、さまざまなリスクはある。緊張感を持って、明日からの学会に望もう。