生物多様性の日in麗江

今日は国際生物多様性の日。この日を記念して雲南省麗江で開催されている「国際生物多様性フォーラム」に参加し、「International efforts to monitor, conserve and restore biodiversity」と題して講演をした。韓国生態学会会長の金恩植さん、中国生態学会副理事長の欧陽志雲さんと同席した。
麗江は、玉龍雪山(4680m)が眺望できる美しい街だ。古い町並み(古城)は世界文化遺産に指定されている。ホテルの7階のエレベータ前から玉龍雪山の写真をとると、目ざわりなホテルが写ってしまう。昨日の夕方には、目ざわりなホテルの先まで歩いてから写真をとろうと、地図も持たずに街中を歩いているうちに、右手(南側)に小高い丘が近づいてきたので、足は必然的にそちらに向かった。丘のふもとには流れのある池が連続しており、ヤナギ属やシイ属の樹木が茂っていた。流れにそって歩いているうちに、シャングリラ精神(Shangri La spirit)という看板を見つけた。この看板には、以下のような説明が書かれていた。
Black Dragon pool is the cradle of Dongha Religion, where the ceremony of Honoring Shu held. The ancestors of Naxi people lived closely to the water, for which, they created their own religion. They worshiped nature god, God Shu, and offered sacrifices to him. It was said that God Shu and human being were brothers. When they grew up, they lived independently. Human being lived on land; God Shu lived in waters, which is called Shugudang in Naxi language. The water is the present Black Dragon Pool. Every year, in January of the lunar calendar, Naxi people held ceremony to worship God Shu for they insist on the belief of respecting the nature. They worship the nature, value the water resource, keep the water clean and never kin the pregnant animals. They only obtain daily necessities and try their best to keep the ecological balance. They consistently uphold a primitive Shangrila spirit – harmony between human and nature.
いきなり、ナシ族東巴教の聖地に足を運んだとは、めぐりあわせが良い。「その昔、Shu神と人間は兄弟だった。大人になると、人は陸に住み、神は水に住んだ。その水が今日の黒龍潭である。・・・ナシ族の人たちは、その日に必要なものだけを採り、生態的なバランスを維持するように最善を尽くした。」
この「シャングリラ精神」については、今日のフォーラムの来賓あいさつで早速使わせていただいた。「国際生物多様性フォーラム」を生物多様性の日に麗江の地で開催する意義として、麗江には人間と自然の調和を重視する「シャングリラ精神」がある、という話をあいさつに織り込んだのだ。
「国際生物多様性フォーラム」初日は夕方に無事終了。その後、玉龍雪山方面にバスで移動し、町はずれの道路沿いで植樹祭をしたあと、ホテルに戻り、麗江市人民政府の方と一緒に夕食をとったあと、再びバスに乗って古城に移動。「麗江中国大研納西古楽会」(ナシ族の伝統音楽の演奏会)を観賞した。この演奏会を主催されている宣科さんは、「国際生物多様性フォーラム」の開会式に出席され、green musicを演奏するのでよろしくという挨拶をされたので、この演奏会を楽しみにしていた。ホテルに戻ってからネットを検索してみると、なかなか大変な人物であることがわかった。
http://jp.yunnantourism.com/lijiang/xuanke.htm
によれば、冤罪で約20年間入獄されていたとか。また、
http://www5e.biglobe.ne.jp/~elnino/Folder_Travels/Folder_China/2001China_Li_Zhn_1.htm
によれば、「宣科(Xuan Ke)は、麗江ナシ族の民族音楽学者(1930〜)。昆明教会学校に学び、長年民族音楽の研究に従事。その後共産党の政策に反対し一時は投獄された・・。古希を前にして尚、ロンドン大学、オックスフォード大学や中央音楽学院、四川音楽学院、雲南民族学院、雲南大学など、国内外の大学に研究と講義の為に訪れて居ます。」とある。また、「麗江中国大研納西古楽会」は、1981年に宣科氏の発案に拠り結成され、古楽 −特に道教的所作の「古老的楽曲」− の研究と研鑚を積み、且つ若手演奏者を育成して1988年7月より演奏活動を開始、とのこと。
「若手演奏者を育成して」とあるが、今夜の演奏者の多くはご老人だった。83歳や85歳の方々については、年齢つきで紹介があった。
演奏会終了後、「国際生物多様性フォーラム」の仕掛け人である和愛軍さんが壇上に登り、平然と挨拶されたのには驚いた。宣科さんとはかなり親しい間柄らしい。
その和愛軍さんのお計らいで、宣科さんのCDと著作をいただいて、ホテルに戻った。