外来種2次選定問題

環境省の担当の方と電話で話をした。済んでしまったことは仕方がないので、次回からは、欠席する委員には事前に説明し、意見を言う機会を作ってほしい。会議運営の基本である。
9日の会議は、各分類群の選定委員会の座長会で、専門家会議と呼ばれるている。私は座長ではないので、この会議には出ていない。その分責任が軽いのだが、委員を引き受ける以上は、結果に責任を持ちたいと思う。
選定委員を引き受けてから、外来生物法関連の膨大な資料にざっと目を通した。その結果、日本生態学会の要望書にリストされている、セイタカアワダチソウ・シナダレスズメガヤについて、指定を急ぐ必要があるのだろうか、と考えるに至った。日本生態学会の自然保護委員なので、いまさらこんなことを言い出すようでは困るのだが、これまで外来生物法については不勉強だったので、自然保護委員会に提案された要望書案を見た時点では何の疑問も感じなかったのだ。
今日、自然保護委員に対して、次のようなメールを送った。

私は植物種に関しては、少数でも良いので、指定した種について徹底した防除対策をとるほうが良いと考えています。開発に関しては、止めれば自然が守られますが、外来種に関しては、指定するだけでは減りません。重要なのは、生態系に悪影響を及ぼしている外来種を減らすことだと思います。植物に関しては、やる気になれば、徹底駆除が可能です。それをやらずに、指定種だけ増やすのでは、指定しても対策をとらないで良いという行政上の実績をつくってしまいます。ミズヒマワリなど、すでに指定した種については、早期に駆除を完了すべきです。

種の保存法に関しては、植物を特定希少種に指定しても、保全対策がとられないという悪しき実績ができてしまいました。この二の舞にしたくないのです。

植物レッドデータブックに記載されている絶滅危惧種の絶滅リスクを高める要因として、外来種の影響がほとんど指摘されていないという点も、「少数指定でしっかり駆除」という判断をしている理由です。動物の場合には、外来種の進入で在来種が滅ぶというケースが各地であります。したがって、外来種の駆除は、緊急の課題だと思います。したがって、たとえばセイヨウオオマルハナバチをできるだけ早期に指定することに賛成です。

このような動物に比べ、植物は、もう少し時間をかけてよいと思っています。とくに、セイタカアワダチソウのように、私が中学生のころから日本中に広がっていたものの指定を急ぐより、現在はまだ進入初期で、急速に分布を拡大しつつあるものの指定を優先し、これらについて徹底駆除を行なうのが良いという判断をしています。

この意見については、賛否両論あるだろう。ブログ読者の方々からも、ぜひご意見をいただきたい。
なお、私はセイタカアワダチソウやシナダレスズメガヤの防除に消極的なわけではない。今日も、九大新キャンパスで、セイタカアワダチソウを刈ってきた。
環境省には、セイタカアワダチソウやシナダレスズメガヤの防除をどのように進めるかについて、方針を具体化してほしい。現実的な案は、防除が急がれる湿地や河原をリストし、そこへの防除計画をたてて公表することだろう。
そのうえで、防除計画を実施するためには、指定したほうが予算をとりやすいというのであれば、指定したほうが良いと思う。指定しないが、予算はとって防除を進めるということであれば、それで良いと思う。
肝心なのは、防除対策を実行することなのだ。