マンガ「種の起源」

講談社サイエンティフィクから書籍小包が届いた。新刊の献呈本らしい。小包を開けてみると、なんとマンガが入っていた。マンガの紹介をアップロードした直後のことだ。タイミングが良すぎるなぁ。

田中一規「マンガ 種の起源
講談社;1400円+税;ISBN:4061549014

内容は、とても正確。私が知らない事例も紹介されていて、勉強になった。著者は大変な勉強家である。巻末の参考文献には、ウィルソンの『社会生物学』や、フツイマの『Evolutionary Biology』、それに、『Charles Darwin and the Evolution Revolution』もリストされている。著者はハーバード大卒、MITの博士課程終了だそうだ。英語の本を読むのも苦にならないのだろう。
子供のころから読んでいた日本のマンガに影響され、漫画家になったのだそうだ。昼間はソフト会社で働き、夜中にマンガを描く生活をされているという。よほどマンガが好きなのね。
ダーウィンの生い立ちや、自然淘汰理論の誕生までを描いた前半は、テンポも良く、絵と文のバランスもとれているが、後半、たとえば薬剤耐性の進化の説明などは、文が多くて、マンガというよりも、図解という感じがする。内容を欲張らずに、ストーリーを重視しても良かったのではないか。
各章の最初は、2ページを使い、アフォリズムが引用されている。たとえば第4章「ダーウィンの進化論」の最初の2ページには、こう書かれている。

一時間でも時間を無駄にできる者は、人生の価値をまだ発見していない。 チャールズ・ダーウィン

うう、この本を送りつけておきながら、この一言をつきつけるとは・・・。この本を読むのは、無駄じゃないと言いたいのね。この本を読んでいるとき、背後を通りすぎるポスドク・学生の視線が鋭かったんだけど。
ダーウィン理論のみならず、進化に関する研究について知りたい初心者には、お勧めの一冊である。