進化学会講演準備完了

明日から国立オリンピック記念青少年総合センターで開催される、日本進化学会大会2006では、3つの講演を引き受けている。昨日から準備を始め、何とかパワーポイントの準備を終えた。
講演は、以下の3つ。

ワークショップ「進化学の教育と研究を考える〜研究テーマ,研究費,人材
講演「進化学関連分野における研究費配分とポスドクのあり方」
日時:8月31日 (木) 9:30〜12:00
場所:センター棟1階(101号室)

こちらは、日本学術振興会プログラムオフィサーとして、斉藤成也さんと一緒に発案した企画である。科学研究費補助金と特別研究員という2つの制度の現状と今後のあり方について、私から問題提起をして、参加者と一緒に議論をする。
研究そのものに関するワークショップではないが、とても重要な問題である。
パワーポイントスライドを43枚準備した。この準備にかなりの時間を費やし、昨日(今朝)は1時半帰宅だった。
主なタイトルは以下のとおり。これらの問題に関心がある方は、ぜひご参加いただきたい。

  • 第1回総合科学技術会議本会議での現状認識
  • 研究者数の日米比較
  • 第3期科学技術基本計画
  • 競争的資金の拡充
  • 科研費の予算額と採択件数の推移
  • 選択と集中の方針
  • 科学技術施策の優先順位づけ
  • 科研費制度に関するまとめ
  • 基礎生物学分野におけるNSFグラントの構成
  • Emerging frontiersへの投資規模
  • フロンティア領域に関するまとめ
  • わが国の場合
  • ポスドク1万人支援計画
  • 理工農博士取得者率は合衆国なみ
  • ポスドクの現況
  • ポスドク動態モデル
  • 博士課程修了者の就職率
  • 学振特別研究員PDの推移
  • 学振PDの就職状況
  • DCの比率がいかに増え、PDがいかに減りつつあるか
  • 学位取得からの年数制限を導入

2つ目。

シンポジウム「保全・進化・地球環境の今後
講演「変わりゆく生態系をどうとらえるか:生物多様性変動の科学とそこから派生する価値的命題」
日時:8月30日(水) 午後7時半〜午後9時半
場所:センター棟3階(311号室)

こちらは長谷川眞理子さんがオルガナイズされているシンポジウム。スライド38枚。
生物多様性変動のモニタリング、保全活動における協働のしくみ、価値観と合意形成について、九大新キャンパス生物多様性保全事業の実績・経験にもとづいて話す。
「協働のしくみ」や「価値観と合意形成」のどこが進化学やねん、などと言われそうだが、本人はいたってマジメに、進化学の範囲だと考えている。それは、進化的社会心理学の「臨床研究」だと思う。
先日も、数理生物学のIさんと、「人はどういうときに説得されやすいか」といった問題について、まじめに議論をした。社会心理学の本を2冊教えていただいて、早速注文した。Iさんは、法哲学の本を読みながら、「正義とは何か」についてまじめに考えていた。
私は、こういう節操のなさが、とても好きである。

3つ目。

公開講演会 「現代進化学の論争
講演「植物進化における論争ー自殖と他殖はどちらが有利か?」
日時:8月30日(水) 午後7時半〜午後9時半
場所:カルチャー棟大ホール

こちらは(たぶん)一般向けの講演。スライド20枚。主なタイトルは以下のとおり。

  • 自家受粉の利点
  • 生物はなぜ他個体と交配するか?
  • ダーウィンが発見した「ヒーロー」
  • 自家受粉が有害遺伝子を減らす効果
  • 自家受精率の進化動態
  • 他家受精率の分布
  • なぜ動物媒花では混殖が見られるか
  • 進化学における代表的な論争
  • 論争するよりも実証するほうが面白い時代

「現代進化学の論争」という講演会で、「論争するよりも実証するほうが面白い時代」と宣言して講演を結ぶ。言った後が、気持ち良さそう。
この主張自体が、論争になったりして・・・(笑)。

さて、明日の始発便に乗り遅れないように、今日は早めに帰宅しよう。