チェコでイタドリとオオイタドリが交雑し雑草化

2月24日に外来種の交雑に起源した雑草について紹介したが、さらにびっくりする事例が最近報告された。

Mandak B, Pysek P, Bimova K. 2004. History of the invasion and distribution of Reynoutria taxa in the Czech Republic: a hybrid spreading faster than its parents. PRESLIA 76 (1): 15-64.

要約:東アジア原産のイタドリ属の外来植物4種 (R. japonica var. japonica, R. japonica var. compacta, R. sachalinensis and R. x bohemica)のチェコ共和国における分布、導入と拡大の歴史について調べた。もっとも広く分布しているイタドリ( R. japonica var. japonica)は、ボヘミア南部で1883年に栽培されているのをA. Weidmannが記録したのが最初である。1902年にはボヘミア北部での栽培が記録されている。2000年までに、1335地点で記録された。河岸や荒地に多い。矮性変種のオノエイタドリ(R. japonica var. compacta)は、稀に栽培され、逸出し、限られた場所で見られる。最初のハーバリウム標本は1948年に採集されている。野外での最初の逸出記録は 1995年である。オオイタドリ(R. sachalinensis)は、261 地点で記録されている。1921年に始めて、ボヘミア中部で記録された。プラハのチャールズ大学植物園で栽培された植物の標本が1950年に作成されているが、この標本の植物はその後の再検討の結果、R. x bohemica, すなわちイタドリとオオイタドリの雑種であることがわかった。これが、チェコ共和国における雑種の最初の記録である。それ以来、この雑種は381地点で観察された。ハーバリウム標本にもとづいて、1952-1995の間の2種とその雑種の分布拡大を調べた。イタドリは、オオイタドリよりも有意に早く広がっており、そしてその雑種は、両親種の2倍の早さで広がっている。

うーん、すごいな。日本でもイタドリとオオイタドリの雑種が記録されているが、不稔のはずだ。両親種の2倍の早さで広がっているということは、ボヘミアでは稔性のある雑種が出来ているのだろう。日本に戻ってきたら、どうなるだろう。
ちなみに、日本での命名されたアイイタドリの学名(Reynoutria x mizushimae Yokouchi ex T.Shimizu)の発表は、R. x bohemicaより遅いので、R. x bohemicaが正式名になる。外来種が広がると、こういう皮肉なことが起きる。