英国のイタドリ駆除会社

日本に帰化したセイタカアワダチソウは、それなりに厄介者ではあるが、英国に帰化したイタドリの比ではないようだ。
明日の授業で、海外に帰化したイタドリの話題を紹介しようと思いつき、海外のウェブサイトを検索して、情報を集めてみた。すると、「イタドリ駆除 根絶保証プログラム」と銘打った民間サービス会社のウェブサイトがヒットした。
このウェブサイトに掲載された写真を見ると、英国に帰化したイタドリのすさまじい繁殖力が実感できる。写真一枚一枚から、撮影者のイタドリに対する憎しみが感じられる。
コンクリートをぶちぬいて、庭に、いや玄関口にまで、我が物顔で侵入されては、「この日本からの侵略者め!」と腹をたてたくなるのもわかる。
そして、根絶サービスの内容がまた、すごい。薬をまくは、注射はするは、ビニールシートで覆いつくすは・・・。しかし、この程度ならまだ予想の範囲内だし、周囲の環境への影響もさほどではないかもしれない。びっくりしたのは、大きなユンボを持ち出して、そこまで掘らんでもええやろ、と思うくらいの「土木工事」までやっていること。少々環境破壊をしても、ひとかけらでも残しておくものかという執念が感じられる。英国、おそるべし。
ちなみに、英国のイタドリはすべてメスで、栄養繁殖で増えているそうだ。これらは遺伝的クローンであることが、次の論文で報告されている。

  • Hollingsworth, M.L., Bailey, J.P., 2000. Evidence for massive clonal growth in the invasive weed Fallopia japonica (Japanese knotweed). Bot. J. Linnean Soc. 133 (4), 463.472.

一方で、上記のウェブサイトによれば、英国に帰化しているボヘミアイタドリ(ボヘミアに帰化したイタドリとオオイタドリの雑種)には雄株と雌株があるそうだ。
雑種が有性生殖をしていて、母種はクローンで増えているというのは、一見奇妙な話だが、よく考えてみれば、理屈にあっている。雑種では組換えの効果が期待できるが、遺伝的変異がない状態では、組換えても無駄である。