第15回琵琶湖賞に中村太士さん

昨日は、滋賀県知事公邸で開かれた第15回琵琶湖賞授賞式に出席した。琵琶湖賞は滋賀県が設立し、第14回まで滋賀県が主催してきた。しかし、県の財政難の下でこの事業を続けるのは適切でないという「事業仕分け」に関する外部評価が出されたたけ、滋賀県による継続が困難になった。高い国際的評価が確立している賞を失うのは学会にとっても大きな損失であるという判断から、日本生態学会滋賀県との間で協議を進め、琵琶湖賞を引き継ぐことになった。そのため、今回の琵琶湖賞は、日本生態学会主催の賞として選考された。ただし、表彰は滋賀県知事が行うという運営規則を定めた。この規則にもとづき、滋賀県知事と日本生態学会会長の連名の表彰状を、滋賀県知事から受賞者に手渡していただいた。賞の運営は、日本生態学会が呼びかけて集めた「琵琶湖賞基金」により行った。ただし、授賞式会場として滋賀県知事公邸を無料でお借りし、当日の設営などに県からご支援をいただいた。
今年度から賞金は廃止することとしたため、優れた受賞候補者が応募されるかどうかが心配されたが、幸いにしてこの心配は無用だった。受賞者に選ばれた中村太士さんは、日本を代表する河川生態学者である。中村さんを受賞者に迎えたことで、琵琶湖賞の新しい歴史が大きく前進したと思う。
私も河川の仕事に多少は携わってきたので、中村さんの実力とご活躍はよく存じ上げている。中村さん、受賞を心からお喜びもうしあげます。。
中村さんの受賞講演では、暦舟川におけるヤナギ類などの分布に関する初期の研究、森と川のつながりに関する一連の研究、そして最近の釧路湿原に関する研究を続けてご紹介いただいた。中村さんのお仕事を体系的に伺うことができて、とても勉強になり、刺激も受けた。その内容を紹介したいところだが、箱崎九大前駅についたので、それは別の機会に譲りたい。
今日はこれから井原山に出かけ、福岡県植物レッドデータブック見直し調査を行う。2週間ぶりのフィールドである。