KさんMさんおめでとう

今日は、東京から京都に移動し、KさんとMさんの結婚式に出た。下鴨神社での挙式に参列させていただいた後、東山山荘での披露宴、屋外パーティ、京阪三条での二次会に出て、0時をまわってからホテルにチェックインした。
今日の京都は、あいにく小雨が降る天気だった。しかし、小雨に濡れた下鴨神社の参道は、砂が適度な湿り気を帯びており、歩くと足音にしっかりとした重みがあって、とても気持ちが良かった。また、タカオカエデの新緑と、照葉樹の深い緑とのコントラストが美しく、本殿にたどりつくまでの道のりで、日ごろのあわただしさを忘れ、心に潤いを取り戻すことができた。
下鴨神社糺の森には、照葉樹林特有のおごそかな佇まいがある。おそらく日本人は、日本に住み着いたときには、照葉樹林に怖れを感じたことだろう。朝鮮半島を通って大陸から渡ってきた私たちの祖先にとって、照葉樹の暗い森は、大陸の明るい林や草原とは異質な自然であったに違いない。しかしまた、食糧としてのどんぐりや、燃料としての薪をもたらしてくれる恵みの場でもあった。森を伐ったり、焼いたりすることで、自然の恵みを減らしてしまうという試行錯誤の経験を経て、日本人と森との付合い方が次第に作られていったに違いない。神社での神前結婚が始まったのは明治以後のことだが、神前でのお作法には、日本人と森の長いかかわりの歴史が反映されているように思う。そんなことを考えながら神前での結婚式に参列した。
お二人はこれまで、とてもたくさんの方と出会い、交友の輪を広げながらこの日を迎えられた。とても友人全員を披露宴に招くことはできないので、屋外パーティと二次会を企画して、友人が集う場を用意された。友人はその人の人となりを映し出す鏡である。屋外パーティと二次会の参加者は、私にとっては初めて会う人が多かったが、楽しく言葉を交わすことができた。お二人がこれまでどういう方々と交流の輪を広げてこられたかがよくわかって、心が洗われるひと時をすごすことができた。
私は天の采配のおかげで屋久島でKさんとめぐりあい、屋久島全島を対象にした、無謀きわまりない植物分布調査計画を完遂することができた。Mさんもまた、屋久島に関わり、Kさんとめぐりあった。めいめいが屋久島を訪れる時期が一年ずれていれば、こうしてひとつの場所に集う機会はなかったに違いない。
縁は偶然のたまものだが、出会った縁をどう生かすかは、それぞれの人の接し方に委ねられている。
KさんとMさんは出会った縁を大きな果実に育ててきた。これからもきっと、たくさんの人との交友の輪の中で、しっかりとした選択をしていかれることだろう。
私もまた、お二人にめぐり合うことができた縁を、これから大切に育てていきたいと思う。
Kさん、Mさん、おめでとう。そして、これからもよろしくお願いします。