山を消す海上空港

京急で品川に向かう途中、琉球大学のYさんと一緒になり、とんでもない話を聞いた。普天間空港の代替施設として、海上空港が計画されていることは知っていた。ジュゴンなど海の生物への影響が懸念されており、環境影響評価が実施されようとしている。しかし、埋め立てに必要な土のことまで、考えが及ばなかった。海上空港の規模は、延長3km、幅1.5km。深さは、深いところでは40mに及ぶという。これだけの規模の埋め立てに必要な土を採れば、九大生態研でノネコの調査を続けている相の島が、全部なくなる。沖縄の陸上生態系にとって、かつてない規模の破壊が進むことは避けがたい。しかし、1箇所からとれば、環境影響評価が必要になるが、分散して採れば、法の網を逃れることができる、今の環境影響評価法は、法の対象となる事業の規模の下限を定めているからだ。すでに、やんばるの一部では、土や石を採るための開発の動きが進んでいるという。絶滅危惧種が集中して生育している場所が、このままでは、環境影響評価の調査もされないまま、消滅するかもしれない。これは大問題だ。日本生態学会九州地区会長としても、日本植物分類学会絶滅危惧植物問題専門委員会(略称:植物RDB委員会)委員長としても、放ってはおけない。すぐに要望書案を準備して、九州地区で議論を開始しよう。日本生態学会が要望書を出す場合、まず地区で議論して、合意形成をはかり、アフターケア委員会の体制を作る。要望書を提出するだけでなく、科学的な調査にもとづいて、アフターケアをしていくのが、生態学会のやり方だ。それだけに、要望書を出すのは、大変な仕事である。午後から開かれる、植物RDB委員会でも、対応を議論しよう。関連する事情をご存知の方は、矢原までメールでご連絡ください。この日記へのコメントも歓迎します。