名古屋観光ホテルの防災体制に疑問

私はホテルに泊まるとき、原則として階段を利用するようにしている。健康上の理由もあるが、万が一の火災や災害時にそなえる意味もある。階段を利用すればそのホテルの防災体制がよくわかる。防災上不安のあるホテルには、二度と泊まらないようにしている。
今日もチェックインしたあと、フロント前の女性スタッフに「階段はどこですか?」と尋ねた。すると、「8階までは階段では登れません。エレベータをご利用ください」という答えがかえってきた。「防災上、階段が使えないのはおかしい」と主張して、女性スタッフと何回かやりとりしたが、解決をみない。その後、責任者の男性が見えたので、事情を尋ねると、2階から上では非常階段を使えるが、1階の出入り口はホテル外に直接開くため、防犯上の理由で施錠しているという。非常時に宿泊客が開けないのはおかしいと言うと、警備員もいるし、マニュアルも整備しているから大丈夫だ、という回答された。いざという時の開錠システムが必要ではないかと言うと、法律にのっとってやっているからその必要はないと強弁され、かなり不愉快な気持ちになった。何度も強弁されるので、「そのようにおっしゃると不愉快な気持ちになりますから、結構です」と話を切り上げて、部屋に入った。
その後、8階の非常口から階段を通って1階まで降りてみた。非常階段は鉄製ではあるが、スペースは十分にあり、物が置かれていることもなかった。この点では、安心である。また、1階の出入り口には開錠用の大きなレバーがあり、「押すと開いてベルがなります」という注意が書かれていた。さすがに押してみることはしなかったが、たぶん押せば開き、ベルがなるシステムだと思う。非常時に客が開錠できない出入り口で、消防署の検査に合格するとは思えない。
その後3階にあがって非常口からは建物の中に入ったところ、ドアを開けてすぐの場所にテーブルやイスが置かれていて、通路が狭隘化している状態だった。
3階の宴会場から、エスカレータを使って1階まで降り、さきほどの責任者に状況を報告した。非常口の前にテーブルやイスが置かれているのは好ましくないので、改善してほしいとお願いした。できるだけ穏やかに、紳士的に報告したつもりであるが、嫌な客だと思われたことだろう。1階の出入り口に関しては、レバーを押しても開かないはずだと強弁されたが、「押すと開いてベルがなります」と書いてあるのだから、「私はその場所に行ったことがありません」と白状しているようなものである。もし本当に開かないのなら、うその表示をしていることになる。
1階の出入り口は非常時には開錠できるシステムだと思うので、このホテルの防災に関して、建物の構造上には問題がないと思う。問題は、非常口の出入り口前にテーブルやイスをおいて狭隘化しているなど、人的な管理面だ。
階段について質問したときの接客態度は、いままで宿泊したホテルの中で最悪だった。
さて、この不愉快さをいつまでもひきずるのは無意味だ。気分を切り替えよう。