魔法にかけられて

エールフランスの機内ビデオは劣悪。日本人客が多いパリ往復便で、日本映画が「蒼き狼」と「バックダンサーズ」(往路)または「そのときは彼によろしく」(復路)だけというのは、あんまりだ。しかも、「バックダンサーズ」はビデオの故障で途中まで(ストーリーは予想がつくのでいいんだけど)、「蒼き狼」は画面が暗くて、景色すら見えん。話もつまらん。睡眠誘導の役には立ったが・・・。「そのときは彼によろしく」は昨年の国際線でさんざん見たぞ。何をいまさら・・・。
というわけで、滅多に見ないディズニー映画を見た。タイトルすら知らなかったが、関西空港についてからネットを調べたところ、「魔法にかけられて」という邦題だった。
ディズニー的ノウテンキはあまり趣味ではないのだが、この映画は、そのディズニー的ノウテンキをディズニー自ら、パロディにしてしまったという異色の作品。これは意外に面白かった。
2次元アニメの世界のお姫様が魔法で現代のニューヨークに飛ばされてしまい、それを追いかけて王子さまと魔女の手下、最後には魔女自らがニューヨークにやってきて、実写の世界でドタバタ劇を繰り広げるといういかにもノウテンキなお話。おとぎばなしのアニメワールドを実写化すれば、イメージをぶちこわすのが通常の結果だが、ディスニーには秘策があった。この映画では、実写の世界をディズニーランド化するという大技で、現実世界を仮想空間に作り変えてしまった。お姫様が公園で突然歌い出すと、おじいちゃんやおばあちゃんも踊り出して、周囲があっというまにミュージカル。これは確かに楽しい。
ディズニー、いっそイラクにディズニーランドを作ってみないか。そして、楽しい仮想空間に現地の若者を雇用し、戦争に疲れた米軍兵士をお客さんにすれば、イラクに平和が訪れるかもしれない。