立春

今日は立春太陰暦では、暦と季節の間にずれが生じてしまうので、季節の進行の目安として「二十四節気」が導入された。1太陽年を24等分すると約15日。今日から雨水(2月19日)までの2週間が、立春の節気ということになる。
まだ寒いとはいえ、農耕の準備を始めなければならない季節だ。しかし、農耕とはなれてしまったわれわれ現代人は、年度末業務に憂き身をやつしている。法人化初年度ということもあって、いろいろなシステムが整備途上にあり、いまだに使えない予算もある。しかし、今年度中には使わねばならない。法人化になれば、年度末の無駄使いがなくなるという話はどこへやら。・・・やめよう、この話は。気分が暗くなる。
季節の話題に戻ろう。夏井いつき著『絶滅寸前季語辞典』(東京堂出版)を読んでいる。一昨年に出版された、石寒太著『心に遺したい季節の言葉』(ベスト新書)が面白かったので、関連図書を買ってみた次第。実は、夏井本の方が出版年が古く、2001年に出ている。私たち現代人の生活が、農耕から離れ、山仕事から離れ、季節の移ろいから離れてしまったために、多くの季語が、滅びつつあるという。これらの本を読むと、私たちは確かに、大切なものを忘れかけていると思う。
夏・秋・冬の山の様子をあらわす季語は、山滴る(夏)、山彩る(秋)、山眠る(冬)。どれも素敵な表現だが、春の「山笑う」にはかなわないと思う。春の女神「佐保姫」には、いかにも春らしい雰囲気がただよう。現代に復活させたい女神だ。意表をつく季語に、「亀鳴く」がある。もちろん、亀は鳴かない。しかし、春先に、小川のへりで、イシガメがゴソゴソと歩いているのを見ると、想像の世界で鳴かせてみたくなる。そのイシガメも、福岡県では絶滅危惧種だ。亀有天神でもイシガメは消え、カミツキガメばかりになっているという。絶滅してしまった動物をうたう季語に、「かわうそ魚を祭る」というものがある。かわうそが魚を並べる習性をうたう季語だが、その獺(カワウソは、漢字ではこう書く)は、絶滅してしまった。獺祭も、もう見れない。いまから悔やんでも、あとの祭りだ。