日本植物学会理事会にて

久々に、植物学会の役員になった。理事は始めてである。選挙で選ばれた59名の中から、さらに選ばれた6名のうちの一人なので、責任が重い。日本遺伝学会でも評議員に選ばれたので、すでに役員をしている日本生態学会・日本進化学会・日本植物分類学会・種生物学会とあわせて、6学会の役員をつとめることになる。選挙で選ばれるのは名誉なことではあるが、もう少し何とかならないものか。

他学会からの、「遺伝子組換え植物の社会における適切な受容を進める体制を求む」という提言への賛同の可否が議題にのぼり、私は慎重な対応を求める意見を述べた。「遺伝子組換え植物の社会における適切な受容を進める」ことには賛成だ。しかし、この問題について社会に発信するためには、基礎研究の立場からだけでなく、農家の事情や生態系への影響、消費者の知る権利など、関連する多くの問題について目配りをした表現に十分な注意を払う必要があると思う。また、条例やガイドラインの具体的な内容に即した、ていねいな説明が必要だ。議論の末に、賛同しないという結論になった。

科学者と社会のコミュニケーションをうまく発展させたいものだ。基礎研究者は、自分たちのナイーブな主張がしばしば社会から「学者エゴ」と受け取られている現状について、もっと謙虚になる必要がある。正しい主張でも、書き方しだいでは、傲慢に聞こえる。今回は、私が議場にいなければ、賛同するという結論になっただろう。「遺伝子組換え植物」については、次期の理事として、植物学会の提言案を用意する責任を背負ってしまった。また仕事が増えてしまったなぁ。