カンボジア・トンレサップ湖の気象観測タワー訪問

東大の小池俊雄先生らのプロジェクトのステークホルダー会合(5月4日)に出た後、5日〜6日の2日間をかけて、トンレサップ湖の周囲を車で移動し、各地に設置された気象観測ステーションや土壌水分観測ステーションを視てまわった。最後には、湖上に建てられた観測タワーまで船で移動し、タワーを見せていただいた。
トンレサップ湖は、単に東南アジア最大の湖であるだけでなく、水位変動の点でも生物多様性の点でも文化の上でも、とてつもなくスケールの大きな湖だ。まず、乾季には2700平方キロ(これでも琵琶湖670平方キロの4倍)の湖が、雨季には1万6000平方キロ(琵琶湖の24倍)に拡大する。メコン川本流からの水が、トンレサップ川を北西に逆流し、水位が2mから10mに増加するのだ。湖岸の森林の大部分は水没するか、少なくとも冠水して、マングローブのような状態になる。当然のことながら、樹木の種組成も特殊で、サガリバナ科などが優先している。記録されている魚の種類はなんと600種。中には、体重100kgを上回るメコンオオナマズなどの巨大魚もいる。これらの魚は、カンボジア人のたんぱく源の60%を占めるそうだ。 そして、約100万人に及ぶ水上生活者が、水上集落で暮らしている。
タワーに行く途中で、水上集落のひとつを通過した。確かに、大きな集落が浮かんでいた。観光客相手のレストランや、淡水魚の「水族館」もあった。タワーの近くで、小舟に乗ったおじさんが魚をとっていた。舟底の穴をあけて水とともに魚を舟に入れ、栓をしてから水を汲みだし、魚を網に入れるという安直な漁法。これで、小魚が大量にとれていた。また、小魚とともに、大量のエビ類がとれていた。おじさんは大きなエビだけをつまみだし、小さなエビは捨てていた。エビが多量にいることから考えて、トンレサップ湖の食物網の相当部分は、植物遺体(デトリタス)をソースにしているようだ。水が泥色なので、プランクトンは緑藻よりも珪藻が多いだろう。
写真のアップロードを何度か試みたが、ネット環境が悪くて、うまくいかない。写真はまた、別の機会に。