国立公園のシカ問題

今日は、東京を日帰り出張。午前中、学内の会議に出たあと、上京して、自然環境研究センターに出かけ、国立公園のシカ問題に関する意見交換会に出席した。環境省スタッフも参加しての会議である。
知床・大台ヶ原屋久島のシカ問題に関係している研究者が集まった。
会議は午後から開かれていたが、私は午前中に学内の先約があったため、遅刻して参加した。大台ヶ原についての議論が終わる直前に会場に到着し、屋久島のシカ問題についてレポートをした。
そのあとの討論では、シカを食料として資源化することが重要だという意見を述べた。この点に関しては、賛成する意見が相次ぎ、ほぼ全員の合意になったと思う。
生態系保全のために、シカを駆除するという考え方には、「かわいそうだ」という批判的意見がつきまとう。確かに、ただ殺すだけでは、かわいそうだ。自然の恵みをありがたくいただくべきだ。もともと、人がシカを採ることで、日本の生態系が成り立ってきたのである。「自然との共生」をめざすなら、人がもういちど食物連鎖の中に入り、シカを食べる必要がある。
また、日本古来の狩猟文化、マタギの文化、修験道の文化などを受け継いでいくうえでも、狩猟を続けることが必要である。
このように、シカを食料として資源化すれば、「駆除」が経済活動として成立する。その結果、シカ問題を市場原理によって解決できるかもしれない。
シカの駆除に税金を投入し続けることは、持続可能とは思えない。資源化・経済化することが、解決の筋道だと思う。