ヒアリングを終えて

金曜日には博士課程リーディングプログラム・オールラウンド型のヒアリングを受けた。2月に立案を開始して以来7カ月にわたり、チームを組織し、試行プログラムの学生を募集し、セミナーを実施して実績を積み、計画の細部にわたって入念に準備を重ねてきた。この仕事がなくてもタイトなスケジュールをぬって、この提案のために緊張を7か月維持し、人事を尽くした。人は自分の都合の良いところばかり見てしまうので、いろいろな人に計画を聞いてもらい、死角を消すための努力も重ねた。ヒアリングを控えた4-5日には、教員だけでなく、学生や事務職員の方にも発表練習を聞いてもらった。自分でもひとりで発表練習を重ね、原稿はほぼ完ぺきに覚えた。本番で緊張しないためには、何度も練習して、時間どおりの話せるという安心感を持つことが大事だ。不安を持つと、それだけでパーフォーマンスは下がる。また、あらゆる質問を想定して、回答を準備しておくと、あわてないですむ。予想外の質問が出ると、あわててしまって、適切な回答ができなくなる。今回は3年目の募集であり、博士課程リーディングプログラムのウェブサイトには、先行して採択されたプログラムについての現地視察報告書が掲載されている。そこでこれらに目を通し、どのような問題点が指摘されているかを点検し、すべての指摘に回答できるように準備した。結果として、予想外の質問はなかった。
最後に残った心配は、どこかに慢心がないか、ということだった。確かに7カ月にわたり周到に準備をして、魅力的な提案をしたつもりだが、慢心は禁物だ。何しろ非常にハードルの高い要請に応えなければならない。7か月かけても、100%の完成度とは言い難い。弱点はある。そこを突かれたときにどうするか。そのときには、「大変難しい質問だ。ハードルをこえるためにここまでの努力はしたが、これこれについては今後の課題として残っている。その課題については、今後真摯に取り組みたい」、と正直に答えるつもりでいた。最終的には、虚勢をはるより、謙虚になるほうが良い。しかし、幸いというべきか、私が弱点と考えている課題については聞かれなかった。
今日は次の仕事にとりかかったが、認知心理学の研究成果が教えるとおり、ある仕事から他の仕事への切り替えは、容易ではない。いわゆるego depletionを乗り越える必要がある。まず疲れや睡眠不足、糖分不足を解消するのが鉄則。次には、現状逃避の誘惑(twitterでつぶやくとか、Facebookにコメントするとか、このブログを書くとか)に多少時間を使っても、確実に片付けられる仕事をひとつひとつ片付ける。さらに、現状逃避の誘惑をより仕事に近い方向に誘導する。今回の場合、本屋によって、興味の持てるムックを買って、仕事の傍らに読んだ。それが上記の本。