オールラウンド型のグローバルリーダーをいかに養成するか

2月10日の記事(http://d.hatena.ne.jp/yahara/20130210)で次のように書きました。

  • 私は私の世代でしか果たせない責任を、しっかり果たそうと思います。この観点から、先週には新たに大きな仕事を引き受ける「決断」をしました。もうこれ以上仕事を増やす余地はないと、依頼を片っぱしから断っていましたが、この仕事は断れないと判断しました。この仕事については、いずれ詳しく書くことにします。

その仕事とは、博士課程リーディングプログラム・オールラウンド型のコーディネータ(企画・立案・実施に関する実質上の責任者)です。明日から1週間は、この申請書の完成に全力を注ぎますので、他の仕事は原則として後回しにさせてください。申請書を来週中に完成させなければなりません。
博士課程リーディングプログラム(通称、リーディング大学院)というのは、

  • 優秀な学生を俯瞰力と独創力を備え広く産学官にわたりグローバルに活躍するリーダーへと導くため、国内外の第一級の教員・学生を結集し、産・学・官の参画を得つつ、専門分野の枠を超えて博士課程前期・後期一貫した世界に通用する質の保証された学位プログラムを構築・展開する大学院教育の抜本的改革を支援し、最高学府に相応しい大学院の形成を推進する事業

です。その中でオールラウンド型というのは、

  • 国内外の政財官学界で活躍しグローバル社会を牽引するトップリーダーを養成するため、大学の叡智を結集した、人文・社会科学、生命科学、理学・工学の専門分野を統合した学位プログラムの構築

を目的としています。
なんだか、大変ですねぇ。いろいろな方から、「リーディング大学院」申請だけはやめといたほうが良い、というアドバイスを受けていました。とにかく大変だ、というのです。私も上記の要請に応えるという課題については、私の出番ではないだろうと思っていました。しかし、私が代表をつとめるグローバルCOEプログラムが今年度で終了することもあり、九大のオールラウンド型申請のコーディネータを依頼されてしまいました。さすがに最初はたじろぎましたが、覚悟を決めました。もし採択されれば、大学院生にさまざまな可能性を提供することができます。また、自然科学も社会科学も使いこなし、なおかつ世界の未来についてしっかりとしたビジョンを持ったリーダーが必要とされていることは確かです。
オールラウンド型では、これまでに以下の5つの提案が採択されています。

5つのプログラムとも、上記の要請に応えるために、関係者が知恵をしぼったプログラムです。いま申請書を作っているのでよくわかります。これらの計画を準備された方たちの苦労は、大変なものだったでしょう。
しかし、もし私がこれらの大学の学生だった場合に、はたしてこれらのプログラムに応募する気持ちになれるかどうか。私は植物分類学の研究者になりたいという強い思いとともに、社会にも役に立ちたいという思いを持っていました。そういうマインドを持つ学生が、これこそ自分が求めていたプログラムだと思ってくれるかどうか。私は、かなりオールラウンド型のリーダー的研究者だろうと思いますが、私のような人材が育つプログラムになっているかどうか。
先行している5つのプログラムを見ると、私には不満に思える点がいろいろあります。しかし、批判するのはやさしい。それを超えるものを作れない限り、批判は何の意味も持ちません。
はたして自分にそれができるか。そう自問しながら、数日考えました。そして、ある案を思いつきました。その案については、5月末の申請が終わったあとで、紹介します。
リーディング大学院は7年間のプログラムなので、採択されればちょうど定年までの仕事になります。大学教員としての総決算をする事業になります。今は、ぜひこの仕事をやらせてほしいと強く思っています。私以外に誰がやれる、というくらいの意気込みで、この仕事にチャレンジしようとしています。
どういう案かは、来月に紹介します。お楽しみに。