選挙結果について考えてみよう

自民党が大勝し、再び政権が交代します。今回の選挙では、研究室の学生がいままでになく関心を持っていることが、とても印象的でした。研究室で、学生たちとずいぶん議論をしました。こんな経験は初めてです。みんな、どういう判断をすれば良いのか、ずいぶん迷っていたようです。たしかに、今回の選挙は選択がむつかしい選挙でした。結果として、棄権した人も少なくありません。投票率は史上最低でした。
結果については、私の予測がほぼ的中しました。小選挙区制の仕組みの下で、投票率が下がれば各党の固い支持票の勝負になることを考えれば、小選挙区民主党が大きく敗北することは必至でした。さらに、失言などで固い票すら棄権にまわる何人かの大物候補も、落選するだろうと思っていました。
やや意外だったのは、自民党の票数が思ったほど伸びず、前回を下回った(つまり減った)ことです。民主党からかなり自民党に票が流れるので、ある程度増えると予想していましたが、この予想ははずれました。おそらく、民主党から流れた票数とほぼ同数が、自民党から維新に流れたのでしょう。
要するに、自民党に支持が戻ったわけではなく、民主党が負けただけです。この点は、自民党側でも冷静に評価しているようです。したがって、来年夏の参議院選挙は、自民党にとって決してやさしい選挙ではありません。安部新政権で、中国との関係が再び悪化することを懸念する声が聞かれますが、安部新首相は、公約どおり尖閣に公務員を常駐させるような無謀なことはしないと思います。それをやれば、来年夏の参議院選挙では勝てないでしょう。そのくらいの判断はつくはずです。心配なのは、さらに右(石原さん)からの、「公約を守らないのか」という圧力(国会質問など)ですが、「尖閣に公務員を常駐させる方針については、状況をよく判断して、適切な時期を選びたい」というような回答をして、先送りするものと予想しています。
興味深いのは、維新が法律を提案できる議席数をしめたことです。この議席数をもとに、来年夏の参議院選挙に向けて、自治体の長が立候補できるように法改正を提案する方針。もしこの法改正が実現すれば、参議院の地方区では、県知事が多数出馬し、参議院の性格は大きく変わるかもしれません。