ボルネオ初体験、後期スタート

8月13日にジャカルタに飛び、その後、スマトラ→えびの高原(野外実習)→韓国(チェジュ島でのWCC)→再びインドネシア(ボルネオ)と旅を続け、23日に帰国した。その後、先週は、九大で開催された日本遺伝学会大会、福岡大学で開催された環境アセスメント学会に対応しつつ、東京・つくばで3つの会議に出席。そしてきのう、いよいよ後期がスタートした。今日はこれから、生態学Iの第一回目の授業。
ボルネオでは、マンドールの湿地林(ケランガス林)を訪問したが、「ケランガス林は多様性が低い」という先入観が間違いであることを思い知らされた。湿地以外に発達した熱帯低地林よりは多様性が低いのだが、、それでも十分に高い。100mx5mのトランセクト調査で、約250種が出現した。調査地は湿地林の保護区なのだが、保護区内でも砂金採掘がおこなわれ、広大な面積の森林が、チガヤ草地か、ほぼ裸地状態の砂地に変貌していた。聞き及んではいたが、ボルネオでの森林減少はすさまじい。湿地林には湿地林特有の種が多く、しかも西カリマンタン・西ボルネオ(クチン地域)固有種がかなり多いようだ。ということは、かなりの種が絶滅危惧種なのだろう。これからその評価をする。
この1年間で、インドネシアではスラウェシ、ジャワ、カリマンタンボルネオ島)、スマトラと、4つの島をめぐり、調査データを手にした。カンボジア、タイでも調査をした。来月末にはベトナムを訪問し、3月にはマレーシアで調査する予定。これらの地域以外で、急速に森林が減っているのは、ミャンマーラオス、およびニューギニアである。しかし、すぐにそこまで調査範囲を拡張すると、同定と解析が追いつかない。2013年度はカリマンタンスマトラに重点を置いた調査計画を組み、2014-15年でその他の地域の調査を検討したい。
2010年に環境省から、アジア規模でのレッドデータブック編集の話をもちかけられたときには、広大な地域の膨大な種数を相手に、どうすればその目標が達成できるのか、アイデアが浮かばず途方にくれた。しかし、大きな目標が設定されると、その目標をクリアしてみたくなる。その後知恵をしぼって計画した調査戦略は、確実に実をむすびつつある。