改訂版植物レッドリスト学名チェック作業ひとまず完了

1日から今日未明まで、オープンキャンパスなどの公務をはさみつつ、使える時間はすべて「改訂版植物レッドリスト学名チェック作業」に投入した。その甲斐あって、学名チェック作業は今朝2時ころにようやく完了した。「関係者のみなさま 全学名のチェック作業が終わりました。ver.10を添付します。」というメールを送信したのが、1時59分。それから車で帰宅し、風呂に入って寝たのは3時ころか。しかし、6時半には起きて、8時のフライトで上京し、日本学術会議環境学委員会の小委員会に出た。午後は、九大有楽町オフィスで別件に対応する予定だったが、ウェブサイトで私のスケジュールをチェックした関係者から連絡が入り、結局、自然研・環境省スタッフと「改訂版植物レッドリスト」に関して打ち合わせをした。打ち合わせ中にも、委員からver.10へのコメントが届き、それに対応しながら、打ち合わせに応じた。
明日の夕方でver.10へのコメントを打ち切る。8月下旬に環境省が改訂版レッドリストを公表するには、これがぎりぎりのタイミングだ。私のほうも、これ以上この仕事に割く時間がない。
今回の学名チェック作業を通じて、日本の植物の分類学的研究に、いまだに多くの課題が残されていることを痛感した。これらの課題を抜本的に解決するプロジェクトが必要だと思うに至った。ひとつのアプローチは、日本の全植物を対象に分子系統解析を行うことだろう。研究者によって、区別しない、いや変種だ、いや別種だと見解が分かれているケースは、決して少なくない。絶滅危惧種には、むしろその例が相対的に多いかもしれない。もうひとつの課題は、私が屋久島で展開したような組織的・定量的方法を使って、南西諸島のフロラを徹底した再調査をすることだろう。南西諸島には絶滅危惧種を含む、多くの固有種や北限種、希少種が生育している。アジア全体からみて、ホットスポットであることは間違いない。しかも、今なお、毎年、何種もの新記録が報告されている。フロラについての徹底した研究が必要だ。しかし私は、2015年まではアジアプロジェクトの責任を負っているので余裕がない。だれかやってくれないものか。