国際マメ科多様性アセスメント計画始動

19−22日の4日間、「国際マメ科多様性アセスメント」に関するワークショップを主催した。海外から、非常に強力なメンバー13名を招聘し、日本発のプロジェクトがスタートした。21−22日の午後は、計画についての討論にあてた。海外の論客を相手に、正味まる一日の英語での討論を仕切り、合意をとりつける作業は、スリルがともなう、なかなかハードな仕事だった。この会議を成功させるために、「国際マメ科多様性アセスメント」のコンセプトと戦略に関する論文草稿を用意し、事前に参加者に配布し、ワークショップ冒頭で50分をかけて説明したのだが、それでも私の意図が正確に伝わっていなかったことが、正味まる一日の討論でよくわかった。長い討論は日本人にはしんどいが、時間をかけて私の意図を説明できたのは、とても良かった。「国際マメ科多様性アセスメント」は環境省予算でアジアからスタートするが、南米およびアフリカでもアジアに呼応するプロジェクトを立ち上げようという流れができた。ワークショップ終了後、この流れにそって、メールでのやりとりが続いている。
全世界の維管束植物(約25万種)の8%に相当するマメ科植物(約2万種)を対象に、地球規模で全種の分布モデルを作り、系統関係と機能形質を考慮した状態と変化(トレンド)の評価を行い、陸上の植物がどれくらいの速度で減りつつあるかを見積もろうという、チャレンジングな計画である。哺乳類や鳥類、両生・は虫類に比べ、陸上植物種の減少評価は決定的に遅れている。たとえば、生きている地球指数(LPI)のモニタリングに、植物は含まれいてない。IUCNレッドリストでも、植物種の評価の割合はきわめて低い(マメ科の場合、これまで評価の対象にされているのは、4%、わずか800種あまりでしかない)。
マメ科だけではもちろん不十分だが、マメ科多様性アセスメントを地球規模で推進することで、他の植物についても同様なプロジェクトが計画・実施されるようになるだろう。
日本では、欧米で立案された計画をフォローすることが多かったが、今回は日本発だ。このプロジェクトはぜひ成功させたい。