放射性物質拡散シミュレーションの結果公表を:日本学術会議会員掲示板への投稿

成田に到着。ラウンジで原発の現況をチェック。2号機たまり水からも1シーベルトの汚染が検出された。原子炉を冷やす作業が続けられているが、崩壊熱がおさまるには1か月以上かかる(http://plixi.com/p/84187425)。この過程で、容器・配管などの劣化が進行していくはずなので、予断を許さない状況だ。さらに高濃度の放射性物質が外に出る可能性を想定して、予防的に対策をとっていく必要がある。この対策をより的確なものにするには、SPEEDIによる計算結果の全貌をすみやかに公表すべきだ。
日本学術会議で、会員向けの掲示板が設置された。そこで、連携会員のひとりとして、以下の提案を投稿した。

緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による放射性物質拡散シミュレーションの結果が23日にようやく公表されましたが、放射性ヨウ素による甲状腺内部被曝の試算値のみです。実際にはさまざまな試算が行われているはずです。これらをすべて公開し、多くの専門家による検討に付すべきだと思います。とくに、これまでに拡散した放射性物質量の地理分布に関する基礎的な試算値が、さまざまな判断を下すうえで必要だと思います。
文部科学省原子力安全課のウェブページ(http://www.bousai.ne.jp/vis/torikumi/030106.html)には以下のように書かれています。

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原子力施設において、放射性物質の異常な放出あるいはそのおそれがある場合、文部科学省原子力施設から通報される放出源情報等を基に、SPEEDIネットワークシステムによる計算を(財)原子力安全技術センターに指示します。
 計算開始後約十数分で予測風速場図形、予測濃度図形、予測線量図形が作成されます。これらの図形はネットワークを介して国や関係道府県、オフサイトセンター等に配信されます。
 国や関係道府県は、配信された予測図形をもとに、住民の屋内退避など各種防護対策の検討を行います。

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このシステムによる計算結果が公表されないまま、「20km」といった避難範囲が指示されている現状は、好ましくありません。23日にようやく公表された一枚の地図を見ると、地域によっては炉心から40kmくらい離れていても、100ミリシーベルトをこえる内部被曝が生じる可能性があります。「事故発生後、連続して一日中屋外で過ごすという保守的な条件を仮定」したとのことですが、当該地域における放射性物質の拡散・降下は今後も続くので、現時点でできるだけ正確な評価・予測を行い、それにもとづいて、この地域を避難させるかを決める必要があります。単純に「20km」と区切るのではなく、地形や風向きを考慮して、より的確な指示をすべきです。
緊急集会でも田中先生が計算結果を公表すべきだと主張されていました。学術会議として、第2次の緊急提言に加えるか、あるいは内閣府を通じて照会し、少なくとも日本学術会議の会員が計算結果を検討し、より的確な避難対策を提案できるようにすべきだと思います。