生態学I授業終了・マスコミ報道追記・普天間問題についてのアメリカの姿勢

今日の一時限目で、生態学Iの授業を終えた。今年度の後期は、グローバルCOEやCOP10対応など、例年にない大仕事をかかえているために、授業準備の時間が不足気味だった。このため月曜の夜は、翌日一時限目の授業準備のために深夜帰宅することが多かったが、今回もやはり終電になってしまった。
今日は、半年分の講義で使ったスライドから重要なものを抜き出して、「まとめ」の講義をした。このようなやり方で講義をしたのは、初めてだ。これまでは、最後の回まで新しい知識を教えていた。授業に対するコメント(毎回質問とともに書いてもらっている)を読むと、多くの受講生から、半年間勉強した知識がつながってとても良かった、という感想をもらった。なるほどそういうものか。この年になっても、授業に関してはまだ改善の余地が少なくないようだ。
「まとめ」の講義をすることにしたのは、実は昨夜、準備に十分な時間が避けなかったためでもある。しかし、それが結果としては良かったようだ。
先日、小沢氏の裏献金疑惑に関する報道について、批判的な記事を書いた。読み返してみて、「私はこの疑惑について、徹底して究明してほしいと思っている」と追記しておく必要を感じた。私が不満なのは、新聞報道に独自取材による情報がまったくなく、「関係者の話によれば・・・」という記事ばかりである点だ。土地購入資金に関する小沢氏の説明は二転三転しているので、お金の出所に関して、疑われても仕方がない。この点は、徹底的に究明してほしい。その究明のためには、誰だかわからない「関係者」の話ではなく、取材によってきちんと裏づけのある情報がほしいのだ。
普天間問題については、アメリカ大使館のウェブページで、Crowly報道官やCampbell国務次官補らによる記者会見の内容を読むことができる。これらを読むと、日本の新聞で報道されている内容は、必ずしも正確ではない。
25日には、Campbell国務次官補による19日の「日米安保条約締結50周年に関するブリーフィング」の内容がアップロードされた。Campbell国務次官補は、日米安保条約に対する日本国民の最近の支持率は高く、女子高生の悲劇的なレイプ事件がおきたあと、多くの日本人が日米同盟に深刻な疑いを持っていた1995年当時に比べれば、はるかにまし(a much stronger, very stable, and ultimately strong position )だと述べている。これは合衆国サイドの冷静な評価だろう。確かに、あのいまわしいレイプ事件のあと、合衆国は非常に苦しい立場に立たされた。それに比べれば、新政権が前の政権との約束を修正しようとしている現在の状況は、さほど難局とは言えない。またCampbell国務次官補は、そもそも安保条約はソ連の脅威に対するものだったが、いまはどこか特定の国に対するものではなくなっていると名言している。
普天間問題に関してCampbell国務次官補に忌憚のない質問をぶつけたのは、ブルームバーグ社の女性記者だ。彼女は「(日米の)どちら側もまったく妥協するつもりがない(intransigent in their position)ように見えるが、解決に向けてどんなサインを得ているのか?」とストレートに聞いた。この質問に対してCampbell国務次官補は、「日米間でこの問題について非常に深くて詳細な協議をしてきた。われわれは20年間におよぶこれまでのアプローチが正しいと考えているが、同時に妥協するつもりがない(intransigent)と見られたくはない。実際にわれわれは問題全体についての対話と議論の門戸を開いており、柔軟さを維持しようとつとめている」という趣旨の回答をした。
この記者会見には、日本の記者もいたのだが、普天間問題については、他に誰も質問していない。
このような一次情報を英語で読んでみると、合衆国サイドの対応は、少なくとも公式に発表されている内容に関する限り、日本の新聞報道から受ける印象とはかなり違う。もちろん、自民党政権との長い協議の末に得た現行案をベストと考えていることは確かだが、新政権が置かれている状況も良く理解している。
このところ、深夜帰宅が続いたので、今日は早く帰宅した。アメリカ大使館のウェブページを読むのも気晴らしのうちである。