連休は、ニッポン・ゲゲゲ

昨夜は、福岡空港に8時半すぎに着き、中洲川端で下車して9時15分から、「ゲゲゲの鬼太郎」のレイトショーを見てきた。
「マンガ」の実写版にあまり興味はなく、「どろろ」にも食指が動かなかったが、「ゲゲゲの鬼太郎」には興味のある点があった。予定の便より1時間半ほど早い便で福岡に戻れたので、コカイタネツケバナの入った袋を下げたまま、中洲大洋に足を運んでみた。
実写版「ゲゲゲの鬼太郎」への興味・・・それはもちろん、大泉洋が演じるねずみ男の出来ばえである。ねずみ男は、「ゲゲゲの鬼太郎」の中ではもっとも重要な役だ。肝心なところで鬼太郎たちを裏切り、ピンチに陥れる。したがって、ストーリーの中心に必ずからむ。ずるくて下品な悪役だが、憎めないキャラで、最後には鬼太郎一家のさやにおさまる。鬼太郎一家の他のメンバーには、雰囲気が似ている俳優をあて、きちんとメークを施してやれば、大失敗はしないだろうが、ねずみ男だけはそうはいかない。実写版「ゲゲゲの鬼太郎」の出来は、ねずみ男を演じる俳優の才能にかかっているといっても過言ではないだろう。
だから、ねずみ男役が大泉洋と聞いたとき、これはひょっとすると、いけるかもしれないと思ったのだ。彼なら、やってくれそうな気がした。
結論として、やってくれました。予想以上の出来ばえで、文句なし。
試写会の挨拶で、「この映画は、本当に僕のためになっているんだろうか、と疑問に思うくらい、目を覆ってしまうようなねずみ男がこれからみなさんの前に出て来ます。僕個人としては、本当にこの映画を宣伝していいのか、非常に疑問でして…」と語って「複雑な心境」を披露したと伝えられているが、この発言には、「これだけ見事にねずみ男を演じきれる役者は、俺しかない」という自信がこめられているように思う。
というわけで、大泉洋ねずみ男を楽しめるという一点だけでも、この映画は見る価値十分である。
それ以外の点は、まったく期待していなかった。どうせ、「妖怪大戦争」と同じく、大人の学芸会だろうと思っていたが、幸いにしてこの予想ははずれた。
小学生の子供が喜ぶ娯楽映画の基本を守り、大人向けの演出は控えて、楽しい映画になっている。
ストーリーは、ねずみ男のおかげで鬼太郎一家がピンチに陥り、鬼太郎が最後にピンチを切り抜けるというきわめてオーソドックスな組み立てである。これに、親子の「男の約束」と、妖怪と人間の「かなわぬ恋」をからめる設定も、きわめてオーソドックス。しかし、娯楽映画はオーソドックスな組み立てのほうが良い。この映画を見て、あらためてそう思った。
親子の約束というテーマは、ストーリーの組み立てを間違えると、道徳くさい話になってしまうが、ケンタが約束を必死で守ろうとするために、鬼太郎一家がピンチに陥るという設定は、なかなか良かった。
「満月の夜」までのカウントダウンストーリーが終わり、鬼太郎一家に平和が戻り、親子の約束は果たされ、かなわぬ恋は妖怪ものわすれによって忘却のかなたへ。
さて、エンディングはどうするのだと思ったのだが、最後は猫娘をうまく使って、なかなか楽しい余興でしめた。
猫娘田中麗奈)はどうせ脇役と思っていたが、こういう役回りがあったか。また、「ネコ科動物」的に活躍して鬼太郎のピンチを救うシーンも用意されていて、スピード感があってよかった。子泣き爺(間寛平)にも、砂かけ婆室井滋)にも、ここぞという活躍の場があり、それぞれのキャラの雰囲気が良く出ていた。CGだが、ぬりかべもここぞという場面に登場して、活躍。もちろん、一反もめんは、鬼太郎を乗せて空を飛んだ。
原作ファンの評価は分かれているようだが、私は賛成票を入れる。