花にとって雨は強敵

昨日は、終日、雨。スズメガも飛べないほど、雨脚が強かった。
今朝、6時ころに天を仰ぐと、青空が広がっていた。ついに梅雨も明けたかと思い、意気揚々と大学に出かけ、カメラを設置したとたん、雨が降り出した。結局、午前中は雨。
午後からは、カメラを設置したが、雨が断続的に降り続いた。
夕方にはようやく雨があがり、雲が切れ始めた。7時すぎから、スズメガが数回やってきた。ある程度のデータはとれたが、柱頭についていたのは、鱗粉だけ。やくや花粉が雨で濡れていると、スズメガがおしべに触れても、花粉は運ばれない。
それにしても、花にとって、雨は強敵である。
花弁は、表皮細胞の表面に撥水性があるので、雨滴は花弁の上で丸くなる。そのため、花が少しゆれただけで、花から雨滴が落ちてしまう。よくできている。
柱頭の乳頭突起にも、ある程度撥水性があるようだ。少し濡れただけなら、柱頭についた雨滴は、すぐに落ちてしまう。しかし、ある程度持続して濡れていると、乳頭状の細胞から粘着質の分泌物が出て、柱頭を保護してしまうようだ。この分泌物はいったい何なのだろう。花粉がついたときに、水だけだと、発芽にともなって花粉が破裂してしまうだろう。浸透圧を変えて、花粉の破裂を防ぐための適応ではないかと想像してみる。
ともあれ、雨に対して一番無防備なのが、花粉だろう。やくを少しずつ開き、花粉を少しづつ出す習性は、ポリネータによって運ばれる機会を増やすだけでなく、雨の日に花粉が一度に濡れてしまわないための適応でもあるのではないか。
雨に濡れながら、そんなことを考えた。
天気予報によれば、明日から3日間、晴れ。
3日間、終日データがとれますように。