雨の日でも飛ぶスズメガ

今日は日曜日だが、花には関係のない話である。研究材料のキスゲの開花期間は、7月中旬から8月上旬まで。この時期にデータをとりのがせば、来年を待たなければならない。
私たちの研究は、「季節労働」である。
季節労働」には楽しさもあるが、苦しさもある。肝心の開花期に雨が続くと、データがとれないのだ。
今日は終日雨だったので、昼間の送粉昆虫は、ほとんど活動しなかった。しかし、こんな雨の日でも、スズメガは花にやってきた。
6時すぎから雨が小降りになったので、あまり期待をせずに、7時から8時まで、スズメガの観察をした。すると、スズメガは、かなり頻繁にやってきた。雨が降っていることもあって、ビデオカメラをセットしていなかったので、傘をさしながら、紙と鉛筆で記録をとった。実験集団に来ているスズメガが1匹の間は、コースまで記録できたが、2匹同時にやってくると、もうお手上げである。その場合には、コースの記録はあきらめて、プリントした花の配置図を使って、訪問している花に×印をつけた。この方法で、どの花に何回来たかという記録はできた。
同じ花に繰り返し訪花しても1と数え、スズメガの訪問を受けた花数を数えると、ハマカンゾウでは5/24、F1雑種では9/12だった(ハマカンゾウ24花、F1雑種12花を実験に使っている)。
この比率は、これまでの結果とほぼ同じである。スズメガは、明らかにF1雑種の花を選んでいる。
おそらく、匂いへの反応性が強いのだろう。
一方、昼間に訪花するアゲハ類は、ハマカンゾウへの選好性が強い。こちらは、赤い色への反応性が強いのだろう。
アゲハ類とスズメガ類で、対照的な選好性が見られることがわかった。結果は明快なので、あと4日、終日晴れた日のデータがとれれば、論文にできる。
梅雨明けが待ち遠しい。