世界遺産をシカが喰う

岡崎→沖縄の1週間の旅から戻ったら、下記の本が届いていた。北海道から屋久島まで、日本中でシカが増え、植生に大きな影響を与えている。この問題を体系的にとりあげた、はじめての本である。

湯本貴和・松田裕之編 『世界遺産をシカが喰う シカと森の生態学
文一総合出版
ISBN:4829911905
2400円+税

本を開くと、次の1行が目にとびこむ。
「日本の森がおかしい」
そう、おかしいのだ。シカ問題はひとつのシグナルである。大きな、深い変化が、日本の森に起きている。
いったい何が起きているのか。この変化をどうとらえれば良いのか。そして、この変化にどう取り組めば良いのか。
これらの問題について、真剣に取り組んだ本である。
日本の自然のあり方に関心がある方には、ぜひ一読をすすめたい。そして、一緒に考えてほしい。
本の森の将来を決めるのは、結局、私たち人間の意思なのである。

はじめに シカと森の「今」を確かめる(湯本貴和)
第1章 自然保護公園におけるシカ問題(常田邦彦)
第2章 エゾシカの個体群動態と管理(梶光一)
第3章 シカはどう増える、なぜ増える(松田裕之)
第4章 大台大峯の山麓から(岩本泉治)
第5章 林床からササが消える 稚樹が消える(横田岳人)
第6章 シカによる適切な森づくり(日野輝明ほか)
第7章 春日山原始林とニホンジカ(前迫ゆり)
第8章 シカの増加と野生植物の絶滅リスク(矢原徹一)
第9章 サル二万、シカ二万、ヒト二万 屋久島のシカと森の今(手塚賢至ほか)