科学技術予算削減は是か非か?

鹿児島空港で乗継便を待機中。
財務省は、これまで削減対象とされなかった科学技術予算についても、削減の対象として検討している。今夜のTBSラジオ「アクセス」のバトルトークは、この問題をとりあげるそうだ。
ウェブ上で意見の受付が始まっており、これまでに寄せられた意見が公開されている。この意見が国民の平均的な世論を代表しているとは言えないと思うが、科学技術に対する市民・国民の意見を知るうえでは、とても役立つ。
賛成・反対の二択ではなく、どちらでもない、という回答ができるのは、とても良い。
私の予想よりも、反対の意見が多い。科学技術への国民の期待は、かなり大きいのかもしれない。
科学技術の研究開発の現場にいる者として、予算に無駄遣いがないかと言われれば、あると言わざるを得ない。しかし、予算の無駄遣いという諸悪の根源は、科学技術の研究現場にあるのではなく、「単年度予算」の制約にあると思う。「単年度予算」のための税金の無駄使いは、公共事業でも広く見られる。年度末になると道路工事が増えることを思い出そう。
私が受けている研究費の中には、財務省からまだ予算がおりていないものがある。幸い、大学が立替えてくれているので助かっているが、現時点でもまだ使えない予算がある。年があけてから予算がおりて、3月までに急いで使わなければならないことはしばしばある。できるだけ有効に使っているが、次年度に使う可能性が高いものを予想して買うという場合も生じる。もっと早くから使えれば、このような無駄はなくて済む。また、次年度繰越しができれば、予算はもっと有効に活用できる。
公共事業でも同じ構造がある。年度内に使い切らねばならないために、すぐには必要のないところまで工事をしてしまう場合がある。
このような制度的な構造をそのままにして、予算額を削ることには疑問を感じる。