九重タデ原湿原プロジェクト
今日は、九重町長者原にあるタデ原湿原に出かけた。タデ原湿原は、九州ではじめてラムサール条約に登録される予定の湿原である。地元には、湿原を守る会があり、活発に活動しているそうだ。セブンイレブン緑の基金では、タデ原湿原守る会や環境省と連絡をとりながら、タデ原湿原の保全に役立つ研究に助成をするプログラムを開始した。このプログラムについて相談を受け、アドバイスをしたことがきっかけとなり、助成金への申請計画の審査委員をつとめることになった。今日は、その審査会が、環境省の長者原ビジターセンターで開催された。
セブンイレブン緑の基金は、セブンイレブンのレジ横に置かれた募金箱への募金をベースとして、募金額に応じた本社からの支援を受けて成り立っている。セブンイレブン緑の基金ではこれまで、自然を守る活動をしている団体に助成をしてきた実績があるが、研究助成を行うのは今回がはじめてである。
緑の基金のスタッフのお話をうかがうと、単なる研究助成ではなく、研究成果が地元の保全活動に還元されるようにしたいとお考えのようだ。これはとても良いアイデアだと思う。環境保全・生物の保全に対してさまざまな研究助成が実施されているが、研究助成の成果は、必ずしも地元に還元されていない。私自身、これまでいろいろな財団から支援を受けた。その支援はとてもありがたいものだったが、報告書を出し、論文を書くこと以外に、地元への貢献を求められたことはなかった。
今回は、セブンイレブン緑の基金のスタッフの方々が、地元の保護団体や、環境省の事務所と緊密に連絡をとり、研究助成を準備された。この取り組みを生かすには、採択された研究が実施される前に、ぜひ地元で研究計画に関する説明会を開いてほしい。そう考えて、審査会で、そのように事務局にお願いした。
研究者にとっても、このような説明会には大きなメリットがある。タデ原の生物や自然環境について、豊富な知識と経験を持つ地元の方々の協力が得られれば、調査ははるかに効率よく実施できるし、調査結果の水準も高まる。しかし、研究者が自分で地元の方々と連絡をとり、日程を調整したり、会場を確保したりするのは、簡単なことではない。助成機関(セブンイレブン緑の基金)が、このようなサポートをして、地元と研究者をつなぐ試みは、とても意義深いものだと思う。
この試みが成功するように、私も地元への説明会に参加させていただいて、調査を実施する研究者と、地元の住民や行政をつなぐお手伝いをする予定である。