論文を書く時間をどうやって確保するか?

昨日のセミナーでは、今年の研究計画を話した。教官としても、研究者としても、手を抜けない仕事である。パワーポイントの準備に、午前2時ころまでかけた。
研究計画をたてるうえで、重要な事項をまとめてみよう。
(1)研究の狙いが鮮明であること。言い換えれば、解決しようとする問題が、わかりやすく具体的な疑問文の形で提起されること。
私の経験では、一般的な問題設定と、絞り込んだ問題設定、さらに絞り込んだ問題設定、というように、3段階で疑問文を書いてみると、頭の中が整理できるように思う。
たとえば、つぎのように。

  • 有性生殖の適応的意義は何か?
  • 有性型と無性型が知られているステビア属の約20種では、有性型と無性型の間にどのような生態的違いが見られるのか?
  • 有性型は無性型に比べ、異質な環境に対する適応放散の速度が速いのではないか?

(2)実験・観察の計画が、設定した問題を確かに解決するものであること。この点に、強い説得力があること。
たとえば上記の3番目の問いに対しては、無性型が有性型から繰り返し進化しているが、形態的には祖先的形質状態をとどめているのに対して、有性型は地域や系統によって独自の派生形質を獲得していることを、系統解析によって示す計画である。数十万年の間におきた現象を対象にするので、系統解析の手段には、進化速度の速い配列のほかに、AFLPも使う。このような技術的裏づけについても、説得力があることが必要だ。
(3)1年間のタイムテーブルが用意されており、それが現実的であり、説得力があること。
上記のステビアのテーマに関しては、メキシコでの海外調査に参加したチームによる共同研究なので、6月下旬に研究会を開いて、今年のタイムテーブルを相談する。
(4)タイムテーブルに論文をまとめる計画があり、この点に説得力があること。
研究者は、書いてナンボの商売である。この点をあいまいにしてはいけない。ところが、昨日のセミナーに向けて計画を考えて見ると、論文を書く時間をまとめてとることは、今年は不可能である。困った。私の予定は、来年3月までウェブで公表している。すでに、3月まで予定がかなり混んでいる。いったいいつ論文を書けばよいのだろう。
このブログを書く回数を減らして、論文を書くことを、真剣に考えるべきかもしれない。