ウェストナイル熱媒介蚊対策に殺虫剤フェンチオンを使うな

日本生態学会自然保護専門委員会に出席中。厚生労働省が平成15年6月18日に各都道府県に配布した「ウェストナイル熱媒介蚊対策に関するガイドライン」では、媒介蚊防除用殺虫剤リストに、有機リン系殺虫剤であるフェンチオン製品を多数あげている。フェンチオンを野外で使用した場合、鳥類などへの被害が深刻であることが知られており、アメリカ合衆国ではフェンチオンの使用・販売は全面的に中止されているという。この問題について、ウェストナイル熱媒介蚊対策にフェンチオン製品の使用を避けること、鳥類に対するフェンチオン毒性に関する注意喚起を関係諸機関に通達すること、を要望項目とする総会決議を提案することになった。
参考資料:
ウェストナイル熱に関するリンクサイト
北海道網走郡女満別町におけるタンチョウの死亡について環境省資料)
フェンチオン使用回避について(WRV幹事:要望書や資料・リンクあり)
ウェストナイルウイルスは、鳥から人へと、蚊が媒介する。人から人へは移らない。人と鳥の両方を吸血する蚊は、日本に11種いるそうだ。
ガイドライン」では、これら11種の幼虫防除対策として、「小水域」(空き缶・竹の切り株など)・「中水域」(防火用水・側溝など)・「大水域」(水田・ため池など)に分けて、有効な殺虫剤リストが掲載されており、「大水域」については、フェンチオン粒剤だけがあげられている。駆除対象種は、コガタアカイエカとシナハマダラカの2種。これら2種を駆除するために、水田やため池に片端からフェンチオン粒剤を使うのだろうか。