温暖化の生物への影響をどう評価するか

中西さんの雑録へのコメント(4日のブログ)を読んだTAKENAKAさんが、「温暖化の生物への影響」を10年程度で評価できるのか、と疑問を投げかけられている。平均気温が4度増加するなら、私は評価できるのではないかと思う。もちろん、それが評価できる生物と、その観測点を選ぶ必要がある。
真っ先に思い浮かぶのは、アポイ岳である。アポイ岳は、かんらん岩という特殊な地質条件のために、山頂部では、810mという非常に低い標高で、高山帯の植生が成立している。そこには、アポイマンテマ・アポイミセバヤ・アポイヤマブキショウマ・アポイタチツボスミレなどの、固有の絶滅危惧植物が見られる。これらの植物の絶滅リスクを高めている要因の一つに、お花畑の縮小がある。針葉樹の高木限界がじりじりと上昇し、高山帯のお花畑の面積は、減少の一途をたどっている。過去の植生図などから、減少速度を見積もることができるはずだ。このような場所で、お花畑の面積や、絶滅危惧植物の生育面積・個体数の減少と、温度や他の気象要因の変化の関係を、きちんとモニタリングしてはどうか。
他にも、知恵をしぼれば、対象種と調査地は選定できるのではないか。植物は数えられるし、生育面積も航空写真や測量で正確にわかる。少なくとも、炭素の動態よりは正確に測定できるように思う。