飲んで飲まれて酒の夢

今日もやけ酒。というよりも、私以上にやけ酒を飲みたいであろう人物につきあって、0時をまわってしまった。

明るい話をしよう。新キャンパスの地元、元岡の酒蔵と協働で、しずく搾りの大吟醸酒「九州大吟醸」を出す計画は、着々と進んでいる。今日は知財本部で、契約関係について細部まで詰めた。「九州大吟醸」の名づけ親のS先生、地元の酒造業者、知財本部、生協、学内NPO法人「環境創造舎」の関係が整理できた。これで、「飲めば飲むほど森が増える」というコンセプトと、九大としてオリジナルグッズとしての吟醸酒を出したいというコンセプトがうまくブレンドできたと思う。あとは、契約書の実務をクリアしたうえで、新しい酒ができるのを待つばかりである。

地元のH酒造さんと、会議のあとで、「夏の酒」について話した。なんと、H酒造さんは、「涼蔵」という夏の酒を出されているそうだ。知らなかった。秋出しの「穣蔵」、寒酒の「雪蔵」も、あるという。楽しみだ。

九大には、酒米の品種のコレクションがあり、幻の品種も保存されているらしい。これらの系統を管理されているS先生とは、昨日、利酒師の友人と一緒に会った。研究者としては、山田錦に代表される酒米の心白の遺伝的背景を研究されている。心白は、なんとone gene mutationだという。変異源処理をすることで、心白を作るさまざまな変異株がとれる。これらは、米粒の中心部のでんぷんが、アミラーゼによって分解されてしまう、一連の変異体だという。このような変異をおこす遺伝子はかなりたくさんあるようだ。そして、心白さえできれば良い酒がつくれる、というものでもないらしい。心白は酒米の必要条件ではあるが、十分条件ではないのだ。では、何が整えば十分かというと、わからない。酒米の頂点に君臨する山田錦がなぜ良い米なのか、その理由はまだ、謎につつまれている。

ところで、九大では、アジア学長会議、という企画を前総長のころから実施している。この会議のときに、アジア酒サミットも開催してはどうか。酒は人をつなぐ。大学も、アジアも、酒で結ばれれば良い。旨い酒には、それだけの求心力があると思う。