鳥越神社例大祭

yahara2006-06-11

隠れ家にこもって仕事をしていると、朝から笛や太鼓の音が聞こえてくる。昨日から、町はすっかり祭り気分である。
上京前にはまったく知らなかったのだが、今日は鳥越神社例大祭である。
昨日は、浅三睦のみこしが近所の小さな路地をねりあるいていたので、散歩に出かけた。
今日は、搭乗予定の最終便を明日の早朝便に予約変更して、ラストランを見るべく、蔵前橋通りにでかけた。
通りには、高張り提灯が立ち並び、御輿は静かにラストランを待っていた(写真は携帯で撮影したもの)。
びっくりしたのは、警備のすごさ。歩道と車道の間にはバリケードが設けられ、おどろくほどたくさんの警官が警備にあたっている。京大時代に見た市内デモへの警備でも、こんなにたくさんの警官はいなかった。
混雑を抜けて、ようやく通りを横断できる横断歩道を見つけた。角の家の前にたたずむおじさんに尋ねた。
「すごい警備ですねえ」
「まあねえ」
「福岡から来たんですが、祇園祭じゃあ、こんなに警官は出ませんよ」
「まあ、道が狭いからねえ」
近隣にすむ台東区民は、この光景にすっかり慣れているようだ。
「何時から動くんですか」
「45分から」
時計をみると、42分。良いタイミングではあった。
やがて御輿が動き出す。小雨が降り続く中、いよいよ祭りはクライマックス。
エネルギーがありあまった、ふんどし姿の若衆が、バリケードによじのぼる。気持ちはよくわかる。
ほどなく、大音響のマイクから、「ただちに退去しなさい。立ち入りは軽犯罪法違反だ」。
その後、御輿の移動とともに、この警告はずっと続いた。やがて、車道に飛び降りた若者が、警官に包囲され、しょっぴかれた。
「おお、ひっぱられてるぞ」
道頓堀に飛び込む阪神ファンでも見るように、「観客」は平然としている。毎年の光景なのだろう。
九大に移る前に、東大に9年間つとめていたのだが、このような東京の夜があることを知らずにいた。
下町のエネルギーと、歴史のある行事が直面している現実とを目の当たりにした一夜だった。
これだけの観光資源を生かさないのは、もったいないと思う。歴史や伝統は、地域にとって何ものにも代えがたい資源なのだが・・。